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ルース、動く(4)
「…大したもんだな…ここにも仲間がいるのか…こりゃあ、検閲も強化しなければならんな。」
「ははっ。どんなことをしても俺達にはザルの目にしか見えん。
それよりもルース、お前は急いでガルーダ様の元へ行け!
お妃さんが待ってるぞ!」
「分かった!先に行くぞ!」
「おう!後でな!」
アイコンタクトでお互いに鼓舞し合うと、ルースは一目散にガルーダの部屋へと駆け出した。まさに黄金の一陣の風と化した彼は、途中すれ違う者達も何が通り過ぎたのか分からないくらいに、あっという間にガルーダの部屋のドアの前にいた。
ノックもせずにドアを開け滑り込んだルースの前に、愛おしい伴侶の姿があった。
「霙っ!」
「…ルース!?」
互いの名だけを呼び合い、引き寄せられ抱きしめ合う。
「霙…このやんちゃ猫め…俺がどれだけ心配をしたか…」
「ルース…ごめんなさいっ、ごめんなさい…俺、俺っ」
ルースは、謝罪を口にする愛おしい夫 の唇を塞ぎ、髪を身体中をその存在を確かめるように撫で摩っていく。
霙の両手もルースの背中にしっかりと回されていた。
その様子を少し離れた場所で、ガルーダが微笑ましく見つめていた。
(遅かれ早かれ、ルース様が戻ってこられると思っていましたよ。
霙様、もう脱走はナシにして下さいね。)
そっと席を外すと、エルグからの伝令を夫ナルジと共に受ける。
「…軍隊は既にラジェの館を包囲しています。
ところが、潜入しているはずのイスナの者の気配も繋ぎもなく、館の中がやけに静かなのです。
あの狡猾な男のこと、館を後にして何処かに逃げてしまったのではないかと危惧しているのです。」
ナルジが呟いた。
「嫌な予感しかしない。
奴が逃げ込むとしたら…まさかとは思うが神域か!?」
ガルーダも頷いた。
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