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足掻き(4)

ルースは、からから、と笑うと、グルディを睨み付けた。 その顔は怒りに満ちている。 「まだ言うか。この戯け者めがっ。 証拠なら存分に揃っている。 今回の一連の騒動のことだけではなく、前神官タルサ・バールド失脚の件。 そして…我が母殺害の件! イスナで我らに刺客を放った件! まだまだあるぞ! もう逃げられぬ。覚悟しろ、グルディっ!!!」 「くっ…何を世迷い言を!この若造が! これを壊されたくなければ、道を開けろ!」 「…最後の最後まで…この卑怯者め! 汚い手で水鏡に触れるな!」 「ほう…流石に王家の秘宝は大事とみえる。 はっはっはっ!これが我が手中にある間は私の勝ちだな! さあ、ルースよ、そこを退けっ!」 グルディは素早く水鏡を掴むと、それを盾にして進み始めた。後ろには大きな鞄を持ったアイルが続く。 水鏡の中心はグルディが動く度に、ちゃぷちやぷと僅かに波打っていた。 ルースの後ろに控えているナルジとキリヤも水鏡を盾にとられては手が出せない。 「さぁさぁ、どうした?はははっ。手出しできまい。」 それを良いことに、グルディはせせら笑いながらジリジリとルース達に近付いてくる。 「この龍の国が無理なら、お前達の手の届かぬ何処か遠い国にでも行って一旗上げるとするか。 …これを壊されたくなければ、そこを退けっ!」 「くそっ…」 「何て卑怯な…」 「何か手段は…」 後退りながら、ただその隙を窺うしかない3人。 このまま黙って行かせるしかないのか…… と、その時。 黒い小さな塊が、勢いよくグルディの足元に突っ込んできた。 「ぐおっ」 突然の予期せぬ襲撃に、反動でグルディの手から水鏡が離れて、大きく空を舞った。 まるでスローモーションのように空中を舞う水鏡を素早くキャッチしたのは…… 「霙っ!!!」 水鏡をしっかり胸に抱えて、勢い余ってぐるぐると回転しながら、霙が背中から壁に激突した。

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