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おあずけ(3)
ガルーダはくすくす笑うと
「私のナルジもそうでしたよ。」
「えっ!?ナルジ様も!?」
「ふふっ、ええ。
あの頃は仕事を覚えるのに必死でしたし、ひと目見た時から運命の相手だと分かっていたのでフラれることはないだろうと高を括って……
でも、彼は諦めなかったんです。顔に似合わぬ美しい花を持っては、私に会いに来ていました。
あなたに送られるこの花達を見ていると、当時のことが思い出されて…ふふっ。」
「はぁ、あのナルジ様が…」
ルウルウの脳裏に、決してイケメンとは言えない個性的な風貌の大男が顔を赤らめながら、美しいガルーダに花を差し出す様が浮かんだ。
ぷふっ
思わず吹き出したルウルウにガルーダが言う。
「ルウルウ、食事くらいは良いのではないですか?
中々の有望株だとエルグが言っていましたよ。
…そろそろ……彼がやってくる頃では?」
トントン
タイミング良くノックの音がした。
「あの…オーディスですっ!ルウルウさんはいらっしゃいますか?」
「ほら、噂をすれば…さぁ、ルウルウ!」
ガルーダにそっと背中を押されたルウルウは、振り返ると頬を染めたまま頷いた。
閉められたドアの向こうでは、若い2人が恋人になろうとしつつある。
「美しい龍の国に美しい心が広がっていく…
ナルジ、嬉しいことですね…」
ガルーダはひとり呟くと、うんうんと頷きながら窓際に寄って行った。
窓を大きく開くと、澄み切った空の下、色とりどりの花が咲き乱れているのが見えた。
(こちらは暖かな春が来たというのに、北の塔は変わらぬ寒さ…そうだ、ラジェ様に何か差し入れをお願いしてみよう。
何も仰らないけれど、ルース様も気にされているに違いない。)
反逆者とは言え、ルースの義弟である。
すっかり毒気が抜けて本来の性格を取り戻したラジェは、独房で静かに祈りの日々を過ごしているという。
(いつかご兄弟で笑い合える日がきますように…)
ガルーダは想いを込めて北の方角に目を遣った。
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