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おあずけ(6)
一方、口付けを受けたルースは『何が起こったんだ!?』とでも言いたげな顔をしていたが、真っ赤になり俯く霙の顔を見た瞬間に、霙からキスされたことにやっと気付き、身体中の血液が沸騰しそうになり思わず霙に抱きついた。
「むぐぅ」
「あっ!しまった!霙、すまぬ!」
無体なことはするな、とドリナに釘を刺されていたにも関わらず、加減をせずに抱き締めてしまい、ルースは慌てた。
「どうしよう、痛くないか?」
「あぁ、傷はどうなってるんだ?」
おろおろしながらも素早い動きで霙の服を脱がせ背中を確認するルース。
突然素っ裸にされた霙は、こちらも何が起こったのか分からず固まっている。
ルースは裸の霙を布団で包み込み、傷に触らぬよう、その周りをそっと指で辿り
「この龍の国を守った名誉の負傷だな…
この傷すらも愛おしくてならん。」
と呟くと、傷を避けて優しくキスを落とした。
ふるりと震えた霙はぽそりと呟いた。
「あの時は必死だったから…でもルース、こんな傷だらけの身体、嫌じゃないのか?」
ルースはそんな霙を抱え膝に座らせると、その目を見つめて言った。
「お前がどんな姿になろうと愛している。」
「ルース…」
「早くさっきみたいにキスしてくれ。」
霙は花が綻ぶように艶やかに微笑むと、そっと唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と啄むようなかわいいキスは、やがて舌を絡ませ合う濃厚なものに変わっていく。
鼻に抜ける霙の甘い吐息に煽られるルースは、霙を膝に乗せたまま着ている物を引き千切るように脱ぎ捨てた。
“無理は禁物、背中を擦ってはダメ”
2人の頭の隅にドリナの忠告は引っ掛かっているものの、そんなことに気を遣って愛し合うなんてできる程、火のついた身体は押さえが効かない。
それでも一応、ルースは霙の背中に触らぬように霙の腰を抱いて愛撫を始めた。
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