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おあずけ(8)
それはルースの指だった。
「久し振り故、解してから愛してやろうと思っていたのに…そんなかわいいことを言われたらもう我慢ができない。
霙、お前の身体も俺を受け入れたがっているぞ、ほら。」
後孔を掻き回す指が、迷わず敏感な部分を突いた。
「ああっ!」
脳天まで一直線に甘美な電流が走った。
あまりの快感にルースの首に回していた腕を外してしまい、仰け反ってひっくり返りそうになった俺の背中を咄嗟にルースが支えた。
「霙っ!」
「いったぁーーーーっ!!!」
瞬間、背中に焼けたような痛みが走り、俺は背中の傷が裂けたのを悟った。
俺を支えようとしたルースの手が、傷にヒットして思いっ切り擦れたのだろう。
『… 背中を擦ってはなりません。
まだ皮が張ったばかりで薄いですから、また裂けてしまいます…』
ドリナ先生の言葉が脳裏に浮かんだ。
先生…やっちゃったよぉ…正常位じゃなければ大丈夫だったんじゃないの!?
鮮血が布団やシーツに散っている。
「うわあっ!霙、霙、しっかりしろ!
大丈夫かっ!?
今すぐにドリナ先生を呼ぶから待ってろ!」
ルースは俺を抱いたまま大騒ぎしている。
「誰ぞ!誰ぞおらぬかっ!」
「…ルース、さっきひと払いしたって言ってたから、誰もいないと思うけど…」
ハッと気付いたのか、ルースは俺をうつ伏せに横たえるとキスを残し、無言で走り出て行った。
はぁ…せっかく治ってたのに…
余りの痛みに、育っていた俺自身は縮み上がって普通サイズになっていた。
痛みを堪えながら手を伸ばし、枕元の布を引き寄せると濡れた下半身をそっと拭き取った。
遠くからドタバタと廊下を走る音が聞こえてきた。
ルースが叱られているような声も聞こえる。
その後…2人してドリナ先生に説教を食らった俺達は、完全に傷が塞がるまで2人っきりになるのを禁止されたのだった。
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