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幸せに満ちる国(9)
歴代の王達が、国内外のひと達から祝福されて、幸せ一杯のまま結ばれる特別な場所。
それにしても、どうしてこんな隠し場所のような所を用意したんだろう。
「ねぇ、聞いてもいい?」
「何だ?今更『嫌だ』はナシだぞ。」
「ちっ、違うって!そんなこと…思ってもないよ…
こんな隠し部屋なんて…どうしてここなの?何か特別な理由でもあるの?」
「それはな…ここが龍の国の中心。ど真ん中になるんだ。
そうだな…強いて言えば、お前達の世界で『ぱわーすぽっと』と呼ばれる場所…力が1番強まる場所、らしい。」
「…へぇ…パワースポットねぇ…
それならいつもここに居れば、ルースの力はもっと強くなるんじゃないの?」
「毎日強烈な力を受け続けていれば、生身の身体も精神も正常ではなくなってくる。
ある程度なら薬にもなるだろうが、それが過ぎると毒に変わるんだよ。
邪な考えを持つ者に利用されたりしないように、ここは王家の直系のみが知る場所で、他の王族すら誰も知らない。ガルーダと、俺の唯一の番…霙、お前だけが、今こうしてこの場所を知るのみ。
そしてその力で満たされた番は、次世代の世継ぎを生み出していくんだ。
王の伴侶は異世界の者が多いからな。俺達龍の全てを受け止めるには、その番にも力が必要なんだ。
俺も父から聞いていたけれど…初めて入った時には驚いたよ。
力が満ち溢れていくのが分かる。
皆、いつもの俺の部屋で2人が仲睦まじく初夜を迎えると思っているのだ。」
「…だから厳重に内鍵を掛けて行ったのか…
ルース、俺もさっきから身体が変だよ…
いつもの俺とは違う。上手く言えないけれど、細胞が造り替えられてるような気がする。
ガルーダがルースの部屋の外で『私がお供するのはここまで』と言っていたけれど…」
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