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幸せに満ちる国(13)

「霙、霙…俺の、俺だけの…霙…」 切なげな声が耳朶(じだ)を打つ。 俺の名前を呼び続け、身体を(まさぐ)るルース。 耳からぞくぞくと甘い電流が身体を駆け巡っている。 俺は無意識にルースの背中に手を滑らせ、愛おしい男の名前を呼び続けていた。 「ルース…ルース…」 ゆっくりと…視線が絡んだ。 バチッと火花のようなものが飛んだような気がした。 今のは何!? 考える間もなく、唇が当たる。 柔らかなそれを擦り付けられ舐められる。 口内に入らせろとノックする性急な舌先を受け入れると「イイコだ」と頭を撫でられた。 心臓の音が煩く跳ねている。 最早どちらの音か分からない。俺だけではなくてルースも… こんなに求めて求められて…誰かを愛おしく思う、こんな初めての感情をどう表していいのかも分からない。 ただ、ルースの名前を呼び深い口付けを交わし、目一杯手を伸ばして届くルースの身体を撫で摩り抱きしめていた。 知らぬ間に着ている物を脱がされていて、お互いの素肌が直に触れる頃には、息が上がっていた。 ルースの筋肉は固くてそれでいて弾力があって、見た通りの逞しさだった。 この男は俺のものだ。心の奥から噴き上がる独占欲。 欲しい。ルースが欲しい。 大きく息を吐き、息を整える暇も与えられずに、ルースの舌が俺の身体を這いまわっている。 何処もかしこもぴりぴりと、甘くて、それでいて少し痛くて気持ちの良い感覚がさざ波のように広がっていく。 こんな感覚は知らない。 初めて抱かれた時は、何が何だか分からなかった。でも今は… うつ伏せにされた時、ルースの動きが止まった。 「…ルース?」 訝しげに振り返ると、ルースがじっと俺を見ていた。 まさか…萎えた!?…やはり男の俺は受け入れられないのか? 「ルース、俺、女じゃなくてごめん…んんっ」

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