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伴侶の自覚(10)

俺が元気になってくるのを見計らって、ガルーダが少しずつ龍の国のことを教えてくれるようになった。 何しろ、俺にとっては初めて聞くことばかりで、まるで夢物語のようだったけれど、それらは何故か妙に俺の中で消化されていき、当たり前のことだと受け入れるようになっていた。 そして……物凄く気になっていたことをやっと口に出せた。 「ねぇ、ガルーダ。俺、やっぱり…聞きたいことがあるんだけど…」 「はい、何なりと。」 「…先々代のお妃様のこと。俺と…同じ世界からやって来た…」 ガルーダは一瞬、“とうとう来たか”とでも言いたげな顔をしたが、すぐに微笑みを浮かべたいつもの表情に戻った。 「そうですよね、お聞きになりたいですよね。 …霙様は知らなくてはならない…」 何か大変なことを聞こうとしているのではないか。 緊張して思わず姿勢を正した。 ガルーダはぐっ、と俺の目を見つめて言った。 「…ルース様のお祖父様に当たる、先々代の龍王様の『龍体化』の暴走を止めることができずに巻き込まれて…命を落とされたのです。」 りゅうたいか? 暴走? 巻き込まれた? 命を…落とした? 「何があったの? …『りゅうたいか』って何?」 「…兄である龍王に恋した妹君が、異世界から来たお妃様のことを快く思わず、『従者と深い仲になっている』と嘘の密告をしたのです。 それを信じた龍王の想像を絶する凄まじい怒りは炎を呼び…感情と欲望のみに支配されてしまって、完全に理性を失い…『ただの龍』に成り果ててしまったのです。 自分が何者であったのか、何処で何をして誰と暮らしていたのか…愛するひとのことさえ忘れてしまう… そうなったら…もう、元には……それが『龍体化』なのです。 龍体化を止めることができるのは、心から愛する番の愛のみなんです。 先々代のお妃様も、何とかその怒りを鎮めようとなさったのですが…残念ながら……」 ガルーダは、ふぅ、と大きなため息をついた。

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