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SS:我が心奪いし君〜ナルジの回想〜(2)
告白の度に、君は申し訳なさそうに丁寧に断ってきた。
それでも俺はアタックし続けた。
ガルーダは俺のものだ!絶対に諦めない!
俺だけに分かるあの香りは、結ばれるべき番の匂いだ!
振られたことすらなかったかのように、笑顔で近付き花を手渡す。
「ガルーダ様、こんにちは!今日も良いお天気ですね!
良ければこれを…道に咲いていたものですが、あまりにも可憐であなたに似合いそうだと、思わず摘み取ってしまいました。」
「ナルジ様、こんにちは。ええ、良いお天気ですね。
…いつもありがとうございます。でも、そんなお気遣いは」
「気遣いではなく、私がそうしたいので!
あっ、すみません。押し付けがましくて…」
「ふふっ…せっかくですから遠慮なく…ありがとうございます。」
「ガルーダ様…」
「急ぎますので失礼いたします。
お勤め、お気を付けて。」
こんなやり取りを際限なく繰り返していたある日、『30分だけ』とガルーダが時間をくれた。
心舞い踊り、性懲りも無く思いを込めて、一輪の真紅の薔薇を手にガルーダの元へ急ぎ向かっていると、何やら言い争う声が聞こえてきた。
この声は…ガルーダ!?
「…ですから、私には心に決めた方がいるので、『あなたに対してそのような気は全くない』とはっきりお断りしたはずです!
これ以上付き纏うのならそれ相応の覚悟をなさいませ!」
「ならば既成事実を作るしかないな。
おい、お前らコイツを押さえつけろ!」
「何を!?むぐっ」
何が起こっているのか容易に想像できた。
全身の血液が沸騰して逆流する。
俺のガルーダに何をするんだ!!!!
「お前ら、何やってるんだ!?」
大声を出し思わず飛び出すと、2人の男に口を塞がれ両手を地に押さえつけられもう1人の男に服を破られ、今まさに事が起こらんとしている場面が飛び込んできた。
俺を見たガルーダの目は絶望の色に潤んでいた。
「ガルーダっっっ!!!」
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