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SS:我が心奪いし君〜ナルジの回想〜(4)

その見えなくなった後ろ姿を見送ると、ひと睨みして言い放つ。 「さてお前ら、覚悟はいいな?」 震え上がる3人の顔が、益々青くなっていく。 そのまま軍隊長に引き渡すと、既に話がついていたのか、言い訳も許されずに速攻で北の塔へ連れて行かれた。 一連の騒動を誰かが見ていて通報したらしい。 国王ルース様の世話役に無理矢理手を出したのだ、当然の報い。 おまけに今まで、親の権威で隠蔽されていた数々の数え切れない悪行も明らかにされていた。 上手くやっていたと思っていたのだろうが、全てが明るみに出た今、そうはいかない。 凍てつく牢獄が終の住処(ついのすみか)となるのだろう。 自業自得だ。 それにしてもガルーダは大丈夫だろうか。 いくら腕が立つとはいえ、いきなり3人の屈強な男達に襲われたらひとたまりもなかったのだろう。 気丈に振る舞っていたが、細い肩は震えていた。 自分の部屋に戻ってもぼんやりとしていた。 まとまらない頭がぐるぐるするし、ガルーダのあの瞳が忘れられない。 「ガルーダ…」 愛おしさだけが募っていく。 会いたい。会いたくて堪らない。 あの震える肩をそっと包んであげたい。 でも彼には…… トントン 遠慮がちなノックの音に思考が寸断された。 「はいっ!」 「…ナルジ様…ガルーダです。先程は」 最後まで聞かずに飛んで行ってドアを開けた。 そこにはいつもと変わらぬガルーダが立っていた。 「ガルーダ様っ、お怪我は!?」 「あなたが守って下さったお陰で大丈夫です。 危ないところを本当にありがとうございました。 それと…大切な隊服をお借りしてしまって…」 差し出された隊服は綺麗に畳まれていた。 「いえ、それくらい何でも。 あの、どうぞ中に。お茶でも入れますから。 あ…でも2人きりというのは…」 「お気遣いなく。改めてまたお礼に伺います。 本当にありがとうございました。」 「ガルーダ様…」 「はい。」 「先程『心に決めた方がいる』と仰っていましたね? あなたがその方に本気なら…私はあなたのことを諦めます。今までしつこく付き纏って申し訳ありませんでした。 ……どうぞお幸せに…」

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