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「それは………!」 「………ん?何?」 「それは…!」 「もう、さっさと言えよ」 死神は急に落ち着きがなくなって、視線をソワソワ 泳がせた。 「…早くしないと、俺、死んじゃうんじゃないの?」 「分かってる! だから、つまり…!」 「うん」 あんまり急かすと焦るようなので 黙ってじっと待ってみる。 「あ、あんまり見ないで…」 手のひらを目の前に伸ばして、手の裏に隠れ 照れ笑いをしている。 「いい加減にしろよ!俺はどっちでもいいから 早くしてくれ!」 「俺にも1回ヤらせてくれ!!」 部屋の中が静まり帰った。 俺を殺した男は、今さら我に帰ったのか ベッドの下で膝を抱えて、うずくまって 泣いていた。 きっとこんなつもりじゃ無かったんだろう。 計画的な犯行ではない。 これからコイツはどうするんだろうな… 殺された被害者なのに、そんな事を考えてしまう 俺はおかしいのかな? いや、それは置いといて… コッチだ…。 今何て言った? チラチラとこちらを見ながら顔を赤くしている 自称、死神。 なんか全部が嘘くさい。 首を絞められた辺りから、ずっと現実感がなくて。 全部夢なのかも。 あれこれ考えるのも面倒で、考えたところで 俺が変えられる事でもない気がしてきた。 「……え?そんな事でいいの?」 「え…うん…」 「いいよ」 「マジ?」 「いいよ、だから早くして 自分の死体見てるのキモいし アイツもなんかパニクって 自殺とかしちゃいそう」 「あ、それはない。死ぬなら事前に分かるから」 「あ、そ、」 「じゃぁ、早速戻すよ」 「うん」 死神がゆっくり近づき、俺の額に手を伸ばして 指先が触れた瞬間に、グラッと景色が揺れた。 瞬きをしたほんの一瞬で、目の前には天井の 鏡に映る裸の自分が見えた。 その俺を、死神が覗きこんできて 自分の口に指を当ててシーと静にしているよう 指示される。 俺はそのまま小さくうなずいた。 言われなくても、色々痛くて声を出せる気も、 体を動かせる気もしなかった。 少しだけ首を動かして男を見ると、死神がゆっくり 近づいて、先ほど俺にしたように額にそっと触れた。

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