7 / 140

2. 2

アキ子さんも敏男さんも、俺の本当の両親ではない。 本当の両親は俺が6歳の時に事故で亡くなった。 俊男さんは俺の母親の弟だ。 とても仲の良い年子の姉弟だったらしく。 俺の両親が亡くなったあと、率先して俺のことを 引き取ると言ってくれたらしい。 親戚の中には遺産が目当てだ、なんて 言ってる人もいるが、俺は気にしてない。 2人とも頑張って俺を育ててくれた。 他人の子を育てるのは大変だっただろうと 子供の俺にも簡単に分かる。 陰湿な虐待をされた事もないし ちゃんとこうして高校まで行かせてもらえた。 感謝している。 でも、俺は直哉と同じではない。 それはずっと小さな頃に学んだ…。 学校に着くと、門の前で1人の少年が待っていた。 俺たちの制服は水色のブラウスにタイなのに 彼だけは学ランを着ている。 「おはよーぅ」 「おはよ」 ニコニコ顔の相手とは対照的に 俺は小さな声で無表情のまま返した。 「ねぇねぇ昨日どうなった?」 腕を引っ張って、俺にまとわりつきながら 一緒に歩く。 俺はそれに答えずに黙って歩き、 靴箱の前で靴を履き替えながら一言だけ返した。 「昼休みにな」 そう言うと学ランの少年は嬉しそうに笑った。 「うん!」 昼休み、購買で買ったパンとお茶を持って 体育館の裏に向かう。 ジメっとして薄暗いそこは、決して食事をするには 向いてない。 誰も寄り付かないその場所で、体育館の出入り口に 続く3段ほどの階段に座って、その場所で1人パンを 食べる。 「今日は焼きそばパン?」 「うん」 「いいなぁ」 学ランの少年がひょこっと現れて 隣に座る。 「ユイってお腹すくの?」 「…ううん。でも、美味しそうだなって思う」 「そっか」 「っで? 昨日どうなったの?」 ユイは昨日俺が何をしてたか知ってる。 「昨日大変だったんだよ」 「どうしたの?」 「殺された」 「は?」 「でも死神が出てきて助けてもらった」 ユイはポカーンと口を開けて俺を見た。

ともだちにシェアしよう!