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「だってエッチしてる時に名前呼びたくなったら
どうすんの? 死神!とか…変でしょ?」
死神の顔がみるみる赤くなる。
「なんかないの?あだ名みたいなの…」
「……ナイ」
今度は泣きそうにったので、俺はあわてて
話の方向を変えた。
「…あー!じゃぁいいや!俺が適当に名前つける」
「ホント?」
今度は笑った。
いちいち感情が態度に現れてペットみたいだ。
そう…犬みたい…。
「タロウ!」
適当に決めるな!と、怒るかな?と
死神の顔を見た。半分冗談で言ったのに
死神は口の中でタロウ…と小さくつぶやいた。
「俺、タロウ!」
満面の笑みで俺に飛びついて来る。
抱きつかれた俺は驚いて声も出なかった。
「名前うれしい、ありがとう!」
そんなに喜ばれたら胸が痛い…。
適当に犬みたいな古風の名前つけてしまったのに。
「あ、いや…やっぱりタロウは変かな…?
もっと別のにしようか…えーっと…なんだろ」
まずい…全然浮かばない。
カッコつけすぎなのも変だし、芸能人の名前とか?
口ごもる俺を見て死神が呟く。
「タロウでいいよ…考えてつけられるより
パッと浮かんだ名前でいい」
「 …… そう?」
本人が良いというならいいか…。
「俺も晃太って呼んでいい?」
「…どうぞ」
なんかこの会話ちょっと前もしたな…。
「晃太」
「はい」
「晃太」
「なんなのよ」
「…晃太…キスしていい?」
俺の肩に手を回したまま、視線を落として
目も合わせず、聞いてくる。
「…どうぞ」
俺が顎を上げると、タロウはじっと俺の唇を
見つめて、ゆっくり顔を近づけた。
ぎこちなく、そっと、優しく唇が触れあう。
肩に回されたタロウの手から緊張が伝わってくる。
すぐにまた唇が離れて、タロウはホッと
ゆっくり息を吐いた。
俺の方からもう一度唇を重ねて
軽く唇を吸ったらタロウの体がピクッと震えた。
ほとんど触れあっただけのようなキスなのに
タロウはうっとりと熱っぽい目で俺を見つめた。
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