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放課後ファミレスに寄って、ついでに試験勉強をして
帰る事になった。
千里と別れ際、ユイの事を思い出した。
ユイと放課後合う約束をしていたのをすっかり
忘れていた。
「千里、悪い、俺図書部で課題出さなきゃ
いけなかった。30分位だから先に行ってて」
「30分位だったら待ってるけど」
「……いや…混みそうだし、先に行って
席とっといてよ」
「…分かった」
千里は何かまだ言いたげだったけど
予鈴に急かされて、自分の教室に戻っていった。
放課後の教室でユイが現れるまで、本を読んで
待とうと、机を漁っていたら、目の前に学ラン姿の
下半身が現れる。
「今日は早いね」
本を机に置いてユイを見た。
ユイは返事をしないで、不機嫌そうな顔で
俺を見てた。
「どうした?」
「ついにアイツと外でも会うんだ」
「……千里の話し?見てたんだ?
まぁ、友達だし、そういうこともあるでしょ」
ユイはますます苛立った顔を見せた。
「アイツ…晃太と共通点いっこもないのに
何で晃太にくっついてくるの?
晃太だって…別に一緒にいて楽しくも
ないでしょ?」
そう言われると、なんでだろ?とも思った。
でも、考える余裕もなかった。
とりあえずユイの機嫌を直さなきゃ…。
「もうすぐ期末だし、勉強教えてもらうんだ
それに、死神と会うの協力してもらったから
お礼に奢るんだよ」
「…それだけ?」
「それだけ」
ユイは俺の席の前のイスに座った。
まるで、やきもち焼の彼女みたいだな、と思った。
今までも特定の誰かと仲良くしていると
機嫌が悪くなって、嫌みっぽくなることは
あったけど、こんなに露骨に文句を言われたのは
初めてだ。
「それより、死神の話し聞いてよ!ユイにしか
話せないんだからさ」
俺の言葉にユイの顔が少し明るくなった。
「しょうがないなぁ…」
自分のマッシュルームヘアを撫でながら
まだ怒ってますよ、という顔を作って
話しに乗ってくる。
ー 良かった、機嫌直ったな
俺はホッとして、週末の出来事を話して聞かせた。
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