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ヒンヤリ。ふれ合ったところが冷える。
ホテルで肌を合わせた時はあんなに熱かったのに。
保冷剤を背負ってるみたいだ。
「タロウ涼しい」
「え?」
「冷たくて気持ちいい」
「…そう?夏で良かった…」
「うん、冬は近づかないで」
「…ヒドイ」
タロウの手が俺の首筋に触れて、唇が近づいた。
実体はないはずなのにしっとりと濡れた感触。
目を閉じずにじっとタロウを見つめると
唇が離れた時に薄く開いた目と目が合う。
無表情で見つめる俺の顔を両手で掴んで
もう一度唇を重ねる。
タロウが俺を捕まえたまま、滑り台に倒れて
俺たちは象の鼻にすっぽりと隠れる。
外灯のほとんどない公園で、俺たちは闇に溶けた。
「ちょっと、ストップ!」
タロウが調子にのってシャツの上から、胸の尖端を
弄り始めたので、慌てて止めた。
「誰も居ないし、誰も来ないよ」
「そういう問題じゃない。こんな外でそんな事
できない!こんな、健全な子供たちの…」
「じゃぁ、あそこ入る?」
タロウは公園内のトイレを指さした。
「バカ、あそこも空が見えないだけで外だ!」
「えーそうなの?」
「とにかくしない!早く帰らないと…9時には
帰るって家に連絡してるんだ」
俺はタロウを押し退けて立ち上がり、
制服をパンパン叩いた。
ー タロウ…性欲が有り余ってるな…
死神のくせに
「じゃあな」
チラッとタロウを振り返って、歩き出す。
「晃太、もう一回だけっ…」
突然タロウが目の前に立ちはだかって
止まるのが間に合わなかった俺は、タロウの胸に
顔をぶつけた。
「った!」
「あ、ゴメン…」
「しつこ……」
ぶつかった鼻をさすりながら笑ってしまう。
「ちゃんと前からしたくて…」
「ハイハイ、どうぞ」
俺が雑に目を閉じると
タロウが動揺する気配がした。
早くしろよ、と言おうと 目を開けると
タロウが俺の後頭部をガッチリ掴まえて
唇を重ねた。
うっとりと目を閉じて、まるで俺の唇を味わう
みたいに。
ー タロウのキス顔必死でかわいい…
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