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8. 4
千里が昼休みに姿を見せるようになった頃か。
俺は小さく息を吐いて、コーラを飲んだ。
「そっか、やっぱりどこで誰が見てるか
分かんないね…」
「…………」
「あれはさ…そういうんじゃなくて…
バイトというか…小遣い稼ぎ…」
「ウリ?」
ズバリ聞かれて、千里を見ると
恐ろしく真面目な顔で俺を見つめている。
「まぁ…そんな感じ?」
「そんなのやめろよ!」
思いの外、強い口調で責められて驚いた。
「危ないし、バレたら退学だよ…そんな…!」
「待て待て!もうやめたから!」
「え!?」
「もうやめたんだ、千里の言うとおり
結構危ない目にあっちゃってさ、懲りた」
「本当に?」
「うん、本当」
「……そ…ぅ」
「心配してくれたんだ、さんきゅ」
「いや…いいけど…」
千里が少し、我にかえったように
ストンと椅子に座った。
「そっか、それでか。
ゲイかもしれない奴に、一緒に風呂入ろうとか
言われたらビビるよな」
言いながら千里の気持ちを考えたら、可笑しく
なってきて笑いがこみ上げた。
「ってゆうか、ゲイかもしれない友達を
よく誰もいない家に誘ったよ、千里すげ~」
「それは…晃太だから…」
「……ぇ?」
「ずっと気になってたんだ。ホテルに入ってくの
見てから…。ウリなんじゃないかって半分くらい
思ってて、でも半分は…晃太が本気で…」
「ちょ、ちょっ…ちょっと待って
本気であんなオッサンとエッチしてるとか
思ったの?」
「ちょっとだけ…」
「聞いてくれて良かったよ。
ちゃんと訂正できて…」
「半分本気だったらどうしようって思ってたから
なかなか言い出せなくて…
この前泊まるって言ってた時も…ゴメン
気になって後をついてったんだ」
「…え?」
「ホテルで会ってただろ?彼女じゃなくて
……男の人と…」
ー そこまでするか?普通…
千里ちょっとサイコ…
「明らかにウリだって思ったら
割って入って、連れて帰ろうと思ったんだ」
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