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最後のテストが終わり終礼が終わり、帰りの準備を していると、千里が教室に現れた。 「これからテストの打ち上げしない?」 俺の席まで来て千里が言った。 「…今日はちょっと無理なんだ。 夏休み入ってからやろうぜ」 「…そっか、そうだね」 「ゴメンね」 千里は笑顔で首を振った。 門まで千里と、今日のテストの答え合わせを しながら一緒に帰り、門の前で別々の方向に 別れた。 制服だし…1度帰って着替えた方がいいような 気がしたけど、面倒だし、相手は死神だ。 ちょっとくらい誰かに見られたりしても 揉み消すのは簡単だと思えて、気が緩んでいた。 苦手な地下鉄…。 地下へと続く狭い階段の前で一呼吸おいて 視線を前方に固定して駆け降りた。 ホームには明らかに人ではない者が何体か 見えたけど、むこうが俺を気にしないなら こちらもひたすら見えないフリだ。 携帯の画面を凝視して意識的に視線を反らす。 その中で1人…俺をほっといてくれない者がいる。 頭から爪先まで真っ暗な影のようで、ギリギリ 人の形を保っている。 それがジッとこちらを見ていた。 ー やばそうだな… 影の中に鋭い眼球がはりついていて 長い足をゆっくり動かして 少しずつこちらに近づいてきている。 完全に目をつけられたな、と内心で思いながら 気づかないフリをし続けた。 ちょうどホームに電車が入って来て、俺は思わず 電車から離れた。 突き飛ばされたりしたらたまらない。 影はそのままゆっくり俺の後ろに立ち 今来た電車に一緒に乗り込んだ。 ー あぁ人に憑くタイプだ… 面倒な事になったなと、思った俺はポケットの中の お守りを手の中に握って取り出した。 咳払いでもするように、手の中に握った お守りに息を吹きかける。 少し間を置いて、辺りを見回した。 ー アレ? タロウが来ない。 もう一度吹いてもタロウは現れなかった。 ー 何で? 来ないと思うと急に動悸が激しくなる。 バーを握る手に自然と力がこもった。 「見えてるんでしょ」 影がざらざらした声で耳元で語りかけてきて お決まりの耳鳴りが始まる。 鳴り止まないキーンという音と共に 影は話し続けた。 「私がどうして死んだのか知りたい? 知りたいでしょう?」

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