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10. 9

「…ない…」 「そうだと思ったよ」 「ごめん…何にも考えなしで…」 「いいって、普通考えないし」 衣類を直して千里がまた俺の隣に寝転んだ。 「…泊まってく?」 「いや、遅くなるけど帰るって アキ子さんに言っちゃってるから もう少し休んだら帰るよ」 「そっか…」 嘘じゃない。本当に今日は 遅くなっても帰る予定だった。 「晃太…また今度リベンジしていい…?」 「…そのうちね」 次はない。 今日あったことは記憶から消してもらう。 明日…タロウが元の死神に戻ったら…。 「晃太…」 ぼんやりしている俺の頬を千里が捕まえて そっと唇を重ねた。 レースのカーテンの向こうに、月が見えた。 俺をそっと抱きしめる千里の肩ごしに それをぼんやり眺めて、今日見るはずだった 花火と、タロウの事を思った。

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