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「そんな事言うなよ。 ダメだよそんなこと言ったら。 もっと嫌み言ったり、怒ったりしろよ」 「えー…。だってどうでもよくなっちゃうんだ… 名前を呼んで、笑ってくれたら… いっぱいエッチもできたし」 タロウがいたずらっ子のような顔で笑った。 「タロウばかだな。そんな事言ってると いいように使われて、損しかしないぞ」 「晃太としか、こんなことしてないし大丈夫」 子供みたいな純粋な目で、そんなこと言われたら 自分がひどく小さな人間のように思える。 バカだな、と思うのは変わらない。 タロウが実際にいたら都合の良いヤツで終わる。 愛人タイプだ。 でも負けた感じがするのは何でだろう…。 「今日夕方…呼び出すかも…」 「晃太…意識飛ぶくらいやったのに も…もう?」 「バカ!違う!勝手に赤くなるな! 千里の昨日の記憶を消してほしいんだ 人間の体の時はできないんだろ?」 「…ああ、うん」 「じゃぁ、帰るよ!」 玄関までついてきたタロウが 心配そうな顔で口を開く。 「記憶…どうして消したいの?」 「……イケナイ事したから?」 「でも…同意だったんじゃないの?」 「そうだけど…このままじゃ …友達に戻れなくなるし…」 「……それの何がダメなの?ケンカしたの?」 「そういう訳じゃないけど… いいんだよっ タロウが知らなくても!」 つい言ってしまった言葉にハッとした。 何て勝手で偉そうな言いぐさだろう…。 タロウを振り返ると、相変わらずキョトンと 緊張感のない表情でこちらを見てた。 「…ごめん」 俺が謝ると首を振る。 「晃太がちゃんと考えて決めたなら…いいよ 昼過ぎには戻ってるから」 「了解」 恋人のようにキスをして別れた。 タロウが何故あんなに躊躇ったのか 分からなかった。 タロウは嫉妬とかしないんだろうか。 千里と俺がこのまま恋人のような関係になっても 気にしないのだろうか。 千里の存在を邪魔に思っていたら 記憶を消して、昨夜を無かったことにするのは 大賛成だと思うのだけど…。 不思議だ…。 タロウの感情表現はとても素直で分かりやすく シンプルなのに、タロウの気持ちが分からない…。

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