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「彼の人生がどうなるかなんて、分からないし 晃太が彼の人生を狂わせちゃうとか 自惚れ過ぎじゃない?」 「うぬぼれ?」 「無理心中する母親じゃないんだからさぁ 彼が晃太に好意を持って突っ走った先が 不幸しかないとか…勝手に決められたくないよ …って逆だったら思うでしょ?」 タロウが立ち上がってベンチから離れた。 「晃太お待たせ!」 公園の前に自転車を停めて、千里が駆けてきた。 それこそ太陽のような笑顔を振りまいて…。 「結構待った?ってゆうか来るの早くない?」 言いながらポケットからケータイを出して 時間を見る。 「大丈夫。俺が早く来すぎたんだ」 「昨日俺がっつり寝ちゃって…ごめん 何時頃帰ったの?」 「12時半頃かな…」 「…そっか」 千里がタロウの座っていた場所に ストンと腰を落とした。 「…メシ誘ってくれてよかったよ なんか連絡したかったけど…気まずくてさ」 千里は頭を掻きながら視線を落として呟いた。 少し離れた目の前でタロウが笑っている。 「あんな事やらかして後悔してるなら なかったことにしてやるよ」 タロウを見つめながら冗談ぽく言った。 笑って、千里が本心を言いやすいように。 「……晃太はそうしたいかもしれないけど 俺は無理。悪いけど…。 やっと本当の事が言えて、これで言い訳 考えずにおまえに触れるって思ったら …今バカみたいに浮かれてるんだ」 千里が俺をチラッと見て、頬をつまんだ。 一瞬キスでもされるのかとドキッとしたけど 手はすぐに離れて、千里は指先をこちらに見せる。 「睫毛ついてた」 「ア、アリガト…」 タロウが目の前でお腹を抱えて笑っている。 ー クソッ堂々とのぞき見して面白がりやがって! 「とりあえずさ、俺の記憶だけは消しておくよ あとの事はもう少し様子見よう…ね?」 タロウが呑気な声で勝手にしゃべり 俺はため息をつきながら、小さく頷いた。 タロウがゆっくり近づいて、指先だけ千里の 額に触れる。 その瞬間、マネキンのように動かなくなった千里を 俺はじっと見つめた。 「彼は俺には会ってない。 あのマンションも知らない。 知っているのは晃太が男相手にウリをしてたって 事だけ、手を話したら意識が戻るよ。いいね?」 「了解」 俺の言葉と同時にタロウが一歩下がった。

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