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俺はムッとした顔のままベッドを下りて 脱ぎ散らかした服を探した。 「晃太、帰るの?」 「もう遅いし明日も学校だし… 」 「じゃぁタクシー呼ぶよ」 最近は帰りは毎回タクシーで帰る。 当然のようにタロウがくれるお金を使っているけど どうやってタロウがお金を作っているかは 知らない。でも、ちゃんとした方法でお金を 手に入れてないことは、何となく分かっていたから 特に聞いたりもしなかった。 タクシーで帰るときは実体のないタロウも 一緒に乗って、近所の公園まで帰る。 運転手にはタロウは見えていないから 会話はできないのだけれど 俺が左手をダラリと座席の上に投げ出すと タロウがその上に、そっと自分の右手を重ねる。 指を絡ませてぎゅっと握って、目だけ合わせて こっそり笑い合う。 そんな瞬間が結構好きだった。 俺は心のどこかで、こんな日々がずっと 続くのだろうと思ってた。 いつか大人になって、普通に結婚したり、 子供ができたりしても…。 こんな風に時々会って、密かに欲求を満たして なに食わぬ顔で、俺は また家庭に戻るんだ。 タロウは絶対にバレることのない 完璧な愛人になってくれるだろう。 俺もきっと今感じているくらいの わずかな罪悪感しか感じない… いや、もしかして、大人になったら罪悪感すら 感じなくなっているのかも…。 そんな風に自分に都合の良い未来を 勝手に想像して、ニヤついたりしていた。

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