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13. 新しい色で

「千里君って好きな子とかいるの?」 「え?」 「いっつも野上とつるんでるけど 女子と一緒にいるのあんまり 見たことないから… 他校に彼女とかいるの?」 「……いないけど」 千里のクラスに入ろうとして、思わず足を止めた。 同じクラスの名前も知らない女子と千里が 放課後の教室で二人きりで話しをていた。 ファミレスで、期間限定のスイーツを食べて 帰ろう、と千里から誘われ、教室で待ち合わせを していたんだ。 「じゃあさ私どうかな? 今度デートしようよ」 「え…」 明らかに動揺して返答に困っている千里を 教室の外からこっそり見つめた。 なぜか俺がドキドキしてしまう。 「…無理かな…好きなヤツがいるんだ…」 「同じ学校の子?」 「……いや…」 「そうなんだ…ガッカリ」 「ごめんね」 「いいよ。でも友達ならいいでしょ? 今度カラオケとか行こうよ 野上とかも一緒に…皆でさ」 「…うん、そのうちね」 そんな会話の後で女子は明るい表情で教室を 出ていった。 俺は柱の影でそれを見送って、一呼吸してから 千里の待つ教室に入った。 「お待たせ」 突然現れた俺の姿に、千里は分かりやすく 驚いた顔を見せた。 「そんなに…ま、待ってないよ!行こう!」 「待て待て、何か言うことあるんじゃない?」 「……え、まさか今の聞いてた?」 俺がウンウン頷くのを見て、大きなため息と共に 音を立てて椅子に座る。 「なんだよ…のぞき見とか…悪趣味だな」 「人聞きの悪いこと言うなよ 告白タイムに割って入れとか言う気か?」 千里はムッとした顔のまま荷物をまとめた。 「…顔良く見えなかったけどさ、結構可愛かった? 性格も良さそうだったし…」 「……だったら何だよ」 「…ふっちゃうの…もったいないなって……」 千里は俺を、信じられないという顔で見つめた。 「冗談にしては笑えないんだけど」 「冗談なんて言ってないよ」 「え?じゃぁ何? 晃太だったらOKしちゃうの?」 「…まぁ…するかもね…」

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