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千里が眉を寄せて俺を見た。 睨んでると言うよりは、苦しそうな目だった。 「………きっつ…」 それから自嘲するように笑いながら うつ向いて溢した。 俺は、さすがにまずい事を言ってしまったと 気づいたけど、何をどう謝ればいいか 分からなかった。 俺は…本当の事を言ったから。 いっそのこと、このまま千里が俺を軽蔑して 俺の事なんか嫌いになればいいんだ。 千里の隣には、さっきみたいにサラサラの ストレートヘアで、短いプリーツスカートから 白くて細い足を惜しげもなく伸ばし 軽やかに駆けていく…そんな妖精みたいな 女の子が似合ってる。 「…晃太」 「は、はい?」 「ファミレスやめてさ…二人きりで ゆっくり話せるところに行かない?」 「………それって…例えば?」 千里の喉がゴクリと動いた。 「ラブホ…とか…」 「…制服じゃまずいよ」 「じゃ、着替えてから待ち合わせしよ」 「ラブホじゃなくても話しはできるでしょ」 「やっぱりね」 「え?」 「嫌がると思ったんだ」 「………」 「俺とそういう関係になりたくないんだろ 分かってたよ」 千里が顔を歪めて笑って俺を見た。 「晃太が嫌じゃなくなるまで待とうと思ったんだ 俺は金で関係を強要するオッサン達とは違う… でも俺たち…このままじゃ永遠に ただの友達だ…」 「千里…」 「俺は嫌だよ。男でも女でも… 晃太が俺以外に特別な存在つくるの」 その時分かった。 笑ってるのか泣いてるのか分からない千里の 顔を見て…。 今さら?と言われるかもしれないけど 千里の気持ちがやっと…。 俺はずっと千里の気持ちを軽く見てた。 一時的な気の迷いで、俺を好きだと勘違い しているんだと。 でも千里の気持ちは、俺が思っているよりも ずっと深くて、単純にエロいことをしたくて 勢いで動いた訳ではないんだと。 俺なんかよりも、もっと色んな事を考えて それでも俺の事を好きだと、勇気を振り絞って 言ってくれたんだと…やっと気づいた。

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