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14. Don’t let go

その帰り、いつもの公園でタロウを呼び出した。 季節はすっかり秋。 陽が落ちてしまえば、急激に気温は下がって 制服にカーディガンというカッコでは 風邪をひきそうな寒さだ。 クシュン、とくしゃみをすると ふわっとタロウが俺を包むように抱きしめた。 「早く帰らないと風邪引くよ」 「今日どうしても会いたかったんだ」 目を閉じてタロウの肩に顔をもたれる。 「あれ、どうしたの?元気ない?」 俺は首を振った。 「千里をフッてきたの…」 俺の頭を撫でていたタロウの手が止まった。 「俺、今タロウ以外の奴と ヤりたいと思えないんだ…」 「…こうた」 ん、と口を突き出して、キスを迫る。 「…誰かに見られるよ…」 「タロウの姿は見えないから 俺は目を閉じて立ってるだけ…でしょ?」 さらに、ん、と声に出してキスをねだった。 タロウは観念したように笑いながら 唇を重ねた。 ふわっと不確かな感触を確かめるように じっくりと、何度も。 「タロウの事で頭がいっぱい だから千里とはつきあえない そう言ってきたの」 俺の言葉にタロウが息を飲んだ。 眉を寄せて苦い顔をする。 「……あれ? 喜んでくれないの?」 苦笑いで聞くと、俺を抱いてたタロウの手が 離れた。 「バカだね晃太」 「え?」 「俺なんて居ないのと同じなんだから そんな事、ばか正直に言って何になるの? 千里くんかわいそう…」 「…でも…お前はいるよ」 「晃太…言ってなかった事があるんだ」 言いながらタロウがベンチに座って 隣の席をポンポンと叩いて、俺を呼ぶ。 素直に誘われるまま、冷たいベンチに 腰を下ろした。 「何?急に…」 「俺、ずっと死神って訳じゃないんだよ」 「…ぇ」 自分でもビックリするくらい 気の抜けた声が出た。 「たくさん働けば早く、死神の役割から 解放される。 働くってつまり亡くなった人を回収して いわゆる…あの世に導くってことね」 「解放?」 「死神じゃなくなるってこと」

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