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「死神じゃなくなったら…どうなるの?」
「……さぁ?その先は分からない…
すぐに何かに生まれ変わるのか
更に別の罰が待っているのか…
分かってるのは、一歩進むということだけ」
「一歩…」
「後1年か、半年か…働けば働くほど早まる」
「死神じゃなくなったら…もう、会えない…?」
「……うん」
真っ白になった。
考えもしなかった…会えなくなるなんて…。
言葉も出てこない。
「…な、なんで…いまさら…」
「晃太、すぐに俺のことなんて
飽きると思って…」
タロウがケロッと言い放つ。
確かに自分も1度やって終わりだと思ってた。
こんなに何度も会って、話をして
生活の一部みたいにタロウがなるなんて
思ってなかった。
「男の子でも女の子でも…身近な、現実の世界の
子が現れれば…そっちに夢中になって
俺の事なんてすぐ忘れるって…
それでいいって思ってた…」
「……何でそんなに余裕なんだよっ」
「晃太…」
「俺ばっかり真剣で…タロウは、いつ別れても
平気みたいな顔して…ムカつく」
「ち、違っ…こうたっ…」
「もう、いいよ!バイバイ!」
俺はさっさと立ち上がって、すがりつくタロウの
手を振り払って、ずんずん歩いた。
振り返りもせず、家へと。
タロウは追って来なかった。
追って来て、すがり付いて謝って来たら
許そうと思ったのに…。
…追って来なかった。
俺は何とも言えない気持ちのまま、
家のドアをあけた。
ひどい気分のままベッドに入り、何度目を閉じても
眠くならず、やっと眠れた深夜。
タロウは突然現れた。
体の左半分の自由が利かず、痺れる感じがして
目を開けると、タロウが泣きながら、俺に
しがみついてた。
「…ぉぉいっ!」
思わず小さな声で突っ込んだ。
「…ゴメンね…こうた…ごめんね…」
ー 何だこれ、なんなんだコイツ!
「ごめんね…」
それはもう、完全に大きな子供のようで
しくしく泣いた顔をひたすら俺の肩にすり付けてた。
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