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15. 進むべき先

「最近はどうなの?」 久しぶりに千里の家で勉強をしていた。 とはいっても、俺は全然集中できず 千里のベッドに転がって、半分眠りながら 机に向かう千里の背中を見てた。 「……どうって?」 「気になってる人、とのその後」 「ああ、うん……」 「俺には聞く権利あるよな?」 「権利とか大げさだな… 別に聞かれたら答えるし」 横に寝返り返りをうって、薄く目を開けて 千里の顔を見つめた。 「ったく、起きろよ。襲うぞ!」 「そんなキャラじゃないだろ ハイハイ起きますよ…」 欠伸をしながら起き上がって、そのまま千里の横に ベッドをソファー変わりにして座る。 「進展した?」 「…う~んある意味ね…」 「何?もったいつけちゃって」 「転勤が決まったんだ」 「…え?」 タロウの事を人間の世界に置き換えたら まあ、そんな感じだろう。 「海外…ヨーロッパ?とにかく遠く」 「……そ、そう。…で…?」 「俺を置いてくのか?ってキレたら じゃあ やめるって」 「……は?」 「言っただろ?愛されてるって 俺を置いてくなんて出来ないって 転勤は断って、ここに残るって」 机の上に手を伸ばして、さっき千里が入れてくれた 冷めかけの紅茶を飲んだ。 「……だっさ」 あきれた顔で吐き捨てるように千里が言った。 「それ本当の話し? そんな理由で転勤やめる奴も 転勤やめさせて平気なお前も…どっちも キモい」 「…言い方」 「だってさ、よく知らないけど 海外へ転勤なんて栄転じゃないの? それを本当に晃太と離れたくないって 理由だけで断ったとしたら、男として つまんない奴っていうか…ダメ男じゃん?」 「そ、そうかな…?」 「晃太は何にも思わないわけ?」 「何も思わなくはないけど…」 「俺だったらそれで終わるなら、それまでの 関係だったんだって割りきる。 仕事は仕事でちゃんとやって、与えられた チャンスは掴みに行く。その上で晃太の事も 大事にするよ」

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