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千里はその後も、特に俺に返事を求めたり しなかった。 俺の怠惰で不毛な高校生活は続いた。 タロウは働かない宣言をしてから 本当に暇なのか、頻繁に姿を現すようになった。 授業中などもちょいちょい現れては 俺を笑わせようとする。 1度、歴史のハゲた教師を授業中ずっと地味に いじり倒し、必死で無視をし続けた俺も、何かの 拍子にツボに入って、吹き出してしまい クラスの全員から、なんだコイツ、という 目で見られ、教師からは、授業中に携帯でも 見てたのかと、呼び出しをくらってしぼられた。 学校帰りの電車の中や、バイト中も ストーカーのように俺の回りをウロウロして 俺の機嫌を窺いながら、少しずつ近づいてくる。 俺が機嫌の悪そうなフリをしていると ソワソワして近づいて来ない。 遠まきに俺の様子を眺めて、放っておくと シュンとして、しばらくすると姿を消す。 そんな従順なペットのようなタロウも 可愛くて好きだ。 でも俺はそこまでSじゃない。 姿を消すと、しばらく姿を見せなくなる タロウの事を思うと、可愛いと思うのと 同じくらい切なくなる。 だから機嫌の悪いフリをしても、そろそろ いなくなりそうだな、と感じる前に 声をかけたり、目線を送ったりして おいで、とアピールすると 俺の態度に安心したように、顔を輝かせて 近づいてくる。 そんな、尻尾を振った子犬みたいな様子が見たくて ついつい意地悪をしてしまうのだ。 俺と一緒の時は完全に下手にでてくれる タロウだけど、たちの悪い死者などには 別人のような表情を見せる。 タロウの本職といったところなのだろう。 俺が体調を崩したり、面倒な事になる前に さっさと消してくれる。 おかげで俺はどこに行くのも怖くなくなった。 以前は不安で避けてきた場所にも行ける。 1度、たちの悪そうな奴と出会ってしまって 二度と行かないと決めた場所も、タロウが クリーンにしてくれた。 タロウは 恋人のようで ペットのようで 俺を包み守ってくれる 天使のような存在だった。

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