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16. 5
バイトの後、いつものマンションで
いつものベッドの上で
素っ裸に寝具を巻き付けて
タロウとイチャイチャふざけながら
なんとなく切り出した。
「千里さ…彼女できたんだって」
「ふぅ~ん…」
「知ってたの?」
「まぁ…知ってたような…?」
「何?その中途半端な感じ」
「千里君から言ってきたの?」
「うん」
タロウは、いつになく真面目な顔になって
そうか…とつぶやいた。
「タロウが脅かすから、心配したけど
千里は大丈夫みたいだな
ホッとしたよ。これで本当に友達に戻れる」
「……そ」
タロウはちょっと悲しそうにも見える
優しい目で笑った。
「クリスマスに遊園地行くんだって
浮かれてた」
「へえ~いいなぁ遊園地…」
「死神でも、そんなとこ行きたいの?」
「クリスマスは、正直どうでもいいけどさ
遊園地は楽しそうだなぁ…
ジェットコースターとか、どんな感じなの?」
「俺、あんまり絶叫系は得意じゃないけど…
行きたいなら今度行こうよ」
「えー!ホント!?いいの?」
タロウの顔が輝いた。
さっきの沈んだ顔がウソみたいに。
「いつだっていいよ。今度の休みでも」
言いながらタロウの首に手をまわす。
「本当に、ホント?」
チュッと音をたててキスをした。
花火を一緒に見ようと誘った時を思い出す。
あの時もタロウは無邪気に喜んでた。
結局一緒に見れなかったのに、タロウは
一言も文句を言わなかった。
「ホントだよ絶対に行こう」
「俺、あの足ぶらぶらで回転するやつ乗りたい」
「うぇー…1発で吐きそう」
「あとね~後ろに進むやつ」
「おまえ、絶叫系ばっか…」
正直自分の体調が心配になったけど
楽しそうなタロウを見てたら、こっちまで
嬉しくなって、つられて笑った。
「んーーー」
寝具ごと腰をギュッと抱かれて
熱烈なキスをされる。
「…したくなっちゃった」
唇が触れあったままで、タロウが囁く。
「…ウン…オレも…」
もう一度唇を吸い合って、舌を絡ませて
タロウが俺に巻き付いていた寝具を剥ぎ取った。
タロウの手に俺の体が溶けていく。
この感覚に俺は完全に溺れていた。
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