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17. 2

立て続けにタロウと絶叫系ばかり3本ほど乗って ゲンナリしてしまった。 タロウは乗るたびにテンションが上がって おおはしゃぎだ。 「次はあれ行こ、あれ!」 遠くに見えているアトラクションを指差して 俺の腕を引っ張る。 「…ちょっと休憩しよ、お茶タイム! トイレも行きたいし」 「じゃあ、ついていこうか?」 「いい、いい! タロウは先に行って 席とっといて」 タロウと離れて近くのトイレに向かう。 俺は三半規管が弱いのだ。乗り物を降りても まだクラクラ目が回って、頭まで痛い。 でも体調が悪いなんて言ったら、気にして もう帰ろう、なんて言い出しかねない。 あんなにはしゃいで、子供に戻ってる死神に 野暮な事は言いたくない。 少し時間が立てば落ち着く。 幸い、もう激し目のは全部乗った。 頑張った。俺。 そんな事を考えながらボーっとした頭で トイレに入ったら、あの黒い影が待っていた。 一瞬にして全身に鳥肌がたち、金縛りにでも あったように、体が硬直して動けなくなる。 憎悪の塊のような黒い影がズズッと音をたてて 近づいてきて、うなり声のような話し声まで 聞こえてきた。 ヤバイ ヤバイと思いながらも 動く事ができなくて、チビりそうになりながら 頭の中でタロウを呼んだ。 俺に言われたとおり、カフェの席をとって ウキウキ俺が戻って来るのを待っているだろう 忠犬の様な姿が目に浮かぶ。 タロウ、タロウ… 「たろう!!」 声が出た!しかもかなりデカめの。 驚いたように、影の動きも止まった。 力を込めたら足も動いた! もつれた足で慌ててトイレを飛び出すと 入ってきた人に思いきりぶつかった。 「晃太!」 「タロウ!?」 入ってきたのはタロウだった。 「大丈夫!?」 「なんとか… ってゆうかタロウどうしてここに?」 「だって呼んだでしょ!?…」 ー 呼んだけど…え?聞こえたの? 俺を両腕で抱きしめて、影から隠すように 背を向けた。 「ホンットしつこいな お前っ 体が戻ったら2度と戻ってこれないように 粉々に消し飛ばしてやるっ!」 タロウが面倒くさそうに眉を寄せた。 「コイツ何か言ってた…聞き取れなかったけど…」

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