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18. 3
「まっずい!」
俺の言葉を聞いてゲラゲラ笑って、自分も
ビールをサラッと飲み干す。
そして一緒に持ってきたビンを掴んで
またグラスに注ぐ。
「……俺、別れたんだ」
唐突に千里が真面目な顔で話し出した。
「え?」
「飲めよ」
「……あ? ああ…」
言われるままグラスを持って、半分ほど喉に
流し込んだ。
「あの日、ホテル行ったんだよ」
「あの日って…クリスマス?」
「うん、遊園地でデートしてそのままホテル
行ったんだ」
「……うん」
いつでも話を聞くなんて言っておいて、
実際千里が話し始めたら、どんな顔をして
聞いたらいいのか分からない。
アルコールのせいか、動悸もしてきた。
「でもさ、俺…できなかったよ…」
「………」
「何でだろうね?何でだと思う? 晃太…」
「…そういうこと…あるよな…」
俺の言葉に千里が首を振った。
「彼女のせいじゃない。俺のせいだった…」
言いながらゆっくり立ち上がると
俺の傍らに立って、半分ほどしか減ってない
俺のグラスに、またビールを注ぐ。
「飲んで」
「……せんり…」
千里は俺の手に、無理やりグラスを持たせ
俺は素直に従って一口飲んだ。
「晃太とあんなに何度もヤったのに
女の子とできなかった…」
「千里、俺たちはヤってないよ…?」
「分かってるよ!」
叫び声と共に、千里が俺の腕を強く引いて
立ち上がらせた。
その瞬間、目の前の世界がグラッと歪む。
「だから今日は最後までやろう…」
「なっ…千里…ちょっと待って」
目の前がグルグル、動悸もすごい。
ー なんだコレ…ヤバイ
アルコールのせいなのか…でも大した量
飲んだ訳じゃないのに…。
普通に立っていられず、体が前屈みになっていく。
千里が俺の腕を自分の首に回して、担ぐように
俺をリビングから連れ出した。
「……せんり…勘弁して…
俺……なんか気分わる……」
「大丈夫だよ。全部飲んだ訳じゃないし
そんなに強い薬じゃないから」
「……え?」
「この前みたいに暴れられるとキツいからね」
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