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「…仲直り したいんだ ……キスだけだよ…」 「違うよ、本当に誰も居ない? あっちの校舎から見えない?」 俺たちの高校は、くの字に校舎が建っている 今いる校舎は、隣の校舎よりも 一階低い作りだった。 場所によってはこちらが見えてしまいそうで 千里の肩越しに、キョロキョロ様子を見る。 「なんだ、そんな事か、全然平気だよ 俺、あっちの校舎からも確認したし」 ー 用意周到は千里らしいけど、何するつもりで そこまでしたんだ。 真面目に語る千里の言葉に笑ってしまう。 そんな俺の顔を見て、ホッとした様に千里も 笑った。 「機嫌なおった?」 「だから怒ってないって… 怒ってたのそっちじゃない?」 「……… ごめん」 千里がまたうつ向くから、今度は俺から 頬に軽くキスした。 千里は驚いたような顔で、自分の頬を撫でて 俺を見つめる。 またキスをされる前に、千里の腕の中を すり抜けて、警戒しながら屋上を歩いた。 「あんまりそっち行くと あっちから見えるから、先生にばれるよ」 「気を付けるよ」 雲ひとつない晴れた空。 乾燥した冷たい空気が、変に熱くなっていた 頬を冷ましてくれる。 「今度、ここで弁当食おうよ」 千里が隣に来て柔らかな笑顔で言った。 「イイね」 「体育館裏も、俺、結構好きだったよ 二人だけで…何も話さなくても ゆっくりした感じとかさ…」 俺にとってはユイと過ごすために、 仕方なく選んだ場所だったけど 千里はそんな風に思ってたのか…。 「…また、たまにはあそこも行こう」 「うん…」 「千里…そういえば…話してなかったけどさ 俺の秘密聞いてくれる?」 屋上の柵に肘を乗せたまま、緊張した表情を こちらに向けた。 「何?こんなに付き合い長いのに 俺が知らないこと、まだあったの?」 「変な奴だって思われたくなくて、家族にも 言ってない。でも、千里には話したい」 俺は小さな頃から、ずっと見えているモノの 存在を話した。あの体育館裏で、一人で お昼を食べていた理由も。

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