118 / 140
20. 7
3日後だった。
深夜、枕元に満面の笑みで現れた。
「花火見つけたよっ
週末にやろ~」
「よく 見つけたね」
俺が半分寝ぼけたまま、タロウをベッドに
招くと、素直にベッドにもぐり込んでくる。
「ピザも食べよ~ね、ね?」
「浮かれてるね…」
「だってやったことないんだ。楽しみ」
俺は寝ぼけた頭で、子供だなぁと笑った。
「いいよ。週末ね…」
言いながらぎゅっと、タロウのひんやりした
体を抱いた。
「タロウ…冷たいなぁ……」
「あ、ごめっ…!」
タロウが離れようと身を引くのを
ひき止める。
「いいよ、コタツでアイス食べてるみたい…」
「??」
「朝まで居て …… 」
「……うん わかった」
ほとんど寝言のような俺の言葉を
タロウは素直に聞き入れて
朝まで彼はベッドにいた。
目覚まし時計をさっさと止めて、もう一度
寝ようとする俺の耳元で
「朝だよ、遅刻しちゃうよ
晃太、起きて」
やわらかい声で囁く。
昨晩タロウをひきとめて、一晩中抱き枕にした事
なんて全く覚えていない俺は
ここがどこなのか、今いつなのかも分からず、
「あと、5分…」
いいかけてハッ!と目が覚めた。
布団をはね除けて飛び起きる。
ー そういえば昨日!俺 …!
ベッドの端に座っていたタロウが
1度振り返ってニッと笑う。
「週末ね!」
そう言い残してあっさり姿を消した。
朝日のなかに溶けてくみたいだった。
エッチもせず。ただ抱き合って眠る。
それだけで自分でも驚くほど満たされて
とても穏やかな朝だった。
ともだちにシェアしよう!