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20. 7

3日後だった。 深夜、枕元に満面の笑みで現れた。 「花火見つけたよっ 週末にやろ~」 「よく 見つけたね」 俺が半分寝ぼけたまま、タロウをベッドに 招くと、素直にベッドにもぐり込んでくる。 「ピザも食べよ~ね、ね?」 「浮かれてるね…」 「だってやったことないんだ。楽しみ」 俺は寝ぼけた頭で、子供だなぁと笑った。 「いいよ。週末ね…」 言いながらぎゅっと、タロウのひんやりした 体を抱いた。 「タロウ…冷たいなぁ……」 「あ、ごめっ…!」 タロウが離れようと身を引くのを ひき止める。 「いいよ、コタツでアイス食べてるみたい…」 「??」 「朝まで居て …… 」 「……うん わかった」 ほとんど寝言のような俺の言葉を タロウは素直に聞き入れて 朝まで彼はベッドにいた。 目覚まし時計をさっさと止めて、もう一度 寝ようとする俺の耳元で 「朝だよ、遅刻しちゃうよ 晃太、起きて」 やわらかい声で囁く。 昨晩タロウをひきとめて、一晩中抱き枕にした事 なんて全く覚えていない俺は ここがどこなのか、今いつなのかも分からず、 「あと、5分…」 いいかけてハッ!と目が覚めた。 布団をはね除けて飛び起きる。 ー そういえば昨日!俺 …! ベッドの端に座っていたタロウが 1度振り返ってニッと笑う。 「週末ね!」 そう言い残してあっさり姿を消した。 朝日のなかに溶けてくみたいだった。 エッチもせず。ただ抱き合って眠る。 それだけで自分でも驚くほど満たされて とても穏やかな朝だった。

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