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「おっ始めたのは千里でしょ」
「あんなヨガってたクセによく言うよ」
「そりゃあんなガツガツヤられたら
ヨガるでしょ」
「晃太がエロい顔で煽るから」
「エロい顔はそっちだろ」
一瞬だけ沈黙して
二人で顔を見合わせ、ぶっと吹き出した。
「なんだこの会話」
「ホント!くっだらない」
人気の少ないロータリーに響くほど
大きな声で笑った。
それから二人でほぼ同時にくしゃみをして
その事でまた腹を抱えて笑った。
「いや、マジ寒い!帰ろ」
「おう、帰ろ」
じゃぁ月曜な、と手を上げてそれぞれ
歩き出した。
ほんの数歩あるいたところで、晃太、と
呼びとめられる。
振り返ると、寒そうに肩をすくめた千里が
笑ってた。
「そうだよ、イカれてるのは俺!
俺がおまえにイカれてるんだ」
誰か聞いてるんじゃないかと、回りを見回した。
「何言ってんだ、ばーか」
「はは、そうだよバカだよ」
「…ただの若気の至りだろ」
千里の顔から笑みが消えて首をふる。
「そんなの10年後に言うセリフだろ」
「……そうかな?」
「10年後…… 若気の至りだけじゃ
なかっただろって言ってやるよ」
千里はそう言って笑うと、さっさと歩き出した。
俺は千里がどんな事を思って、そんな事言ったのか
理解できずに、千里の背中を見送った。
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