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22. 5
「あと2.3人お迎えが終わったら、たぶん
死神の仕事は終わるんだ。
でも本当に終るタイミングはザックりしか
分からないから、突然その日が来るかもしれない
そうなったらお別れも言えずに
会えなくなっちゃうし、そんなの嫌だから…」
「うん……」
俺にはひき止める権利も、力もないことは
分かっていた。
それでも、明日になったらもうタロウに
会えないなんて、全然 現実感がない。
どうせ忘れた頃に俺のベッドに潜り込んできて
“逢いたかった”って泣くんだ。
「晃太、ありがと…大好き」
タロウが俺に被さって、顔を俺の首筋に
押し付けた。
細かく震えてる肩をポンポンと叩いて
俺もありがとう、と言いたかったけど
今声に出したら泣いてしまいそうで
何も言えず、ひたすら薄暗い天井を見つめて
瞬きを繰り返した。
そうだ…本当は気づいてた。
この関係をずっと続けられる訳ないって…。
肩をギュッと抱くと、タロウも抱き返す。
赤ちゃんみたいに丸い頬を唇でやんわり噛むと
クスクス笑う。
俺が冗談で適当につけた名前を呼べば
嬉しそうに笑う。
こんな他愛もないやり取りをして
胸の奥が暖かくなった事も
何年も過ぎて振り返った時には
あれ?この思い出って本当にあったっけ?
なんて…まるで不確かな夢のようになって
しまうんだろう。
押して引いて、波みたいな快感も
甘い吐息も、自分の中が溶けそうなくらい
熱くて、その感覚を あきもせず何度も
欲しがった事も、全部。
本当にあったのか、ただの妄想か
分からなくなってしまうんだ。
「痛いの?」
「全然 … なんで?」
「…だって涙が…」
「出てない、気のせいだろ」
タロウが俺の両足を抱えて、ゆっくり
最奥まで入り込んでくる。
昼間っから何度もしたおかげで
俺の後ろは何の抵抗もなくタロウを
飲み込んでいった。
「はあ…はあ…いいよ……」
「……っえ?」
ゆっくり大きな動きが、変になりそうなほど
気持ちよくて、もどかしくて…。
ずっと続けてほしいような、もっと激しく
抉ってほしいような……。
「ナカに出して……っいいから」
「…コウタ……」
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