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気になるあの子の慰め方。
「う~ん」
「どうしたんだ、呻ったりしてお前らしくない」
間宮は屋上で缶コーヒーを片手に考え事をしていた。そんな間宮を見かねた栄が訊ねた。
「ああ、気になる子がいてね? どうしたら元気になってくれるかな、と――」
「お前に好いた子がいるのか? 嘘だろう? 他人に無関心でどんなに可愛い子に言い寄られても見向きもしなかったお前がか?」
「煩いな、岳」
じっとりと横目で睨んだと思ったら、間宮の薄い唇から深いため息が出た。
「……泣いてたみたいなんだよ、その子。慰めてあげたいんだ」
「だったらお前の容姿だ。少し甘い言葉でもかけてやれば元気になるだろう?」
「そんな簡単にいかない。もういい、お前に訊いた僕が愚かだったよ」
――茶屋裏では最悪だった。
大瑠璃はなにせ恐ろしく怒っていた。
それに甘い言葉をかけたって子供だましが通用する相手ではない。
行動で示した上で言葉をかけてやらないとまず間宮を信じてくれないだろう。
茶屋裏。
大瑠璃と出会った頃のことを思い出した間宮は、はっとした。
猫、か。
あの子猫ならきっと大瑠璃も喜んでくれるかもしれない。
ああ、そうだ。美しいものを愛でれば誰だって気分は良くなる。
それに、大瑠璃はとても動物が好きそうだ。
なにせ彼は猫の為に激怒していた。
あの子猫を連れて行こう。
そうすれば、ほんの少しでも大瑠璃の笑顔が見られるかもしれない。
間宮は大きく頷いた。
《気になるあの子の慰め方・完》
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