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第2話 青い光
レンがいなくなった理由を誰も知らない。
一年前、ちょうど今の僕みたいに学校からの帰宅途中、レンは忽然と姿を消してしまった。
最後の目撃情報は、高校の近くのコンビニ。そこに立ち寄って漫画雑誌を買うレンが防犯カメラに残されていた。それ以降のレンの足跡は不明。
一体、レンに何があったんだろう。
レンは男だけど、モデルみたいな体型でとても綺麗な顔立ちをしていたから、変態にさらわれてもおかしくはないだろう。
でもそんなこと想像するだけで、僕は死んでしまいたくなる。
きっと生きている、どこかで必ず。僕はそう信じている。
そういえば都市伝説めいた噂もあった。
レンが路上で、青い光に包まれて、消えてしまったというような話だった。
もちろんそんなわけはないのだけれど、変態にさらわれるよりはマシかもしれない。
僕はため息をついて、ポスターの前から歩き出した。
レンに会いたい、って思いながら。
レンのいない世界はとても寂しい。レンがいなくなって僕は、自分が抜け殻になったように感じていた。
会いたい。会いたい。
レンに会いたい。
その時、視界が突然、青く染まった。
えっ?
なにこれ?
僕はきょろきょろした。周囲の空気が全て、青色に染まっていた。
何も見えない。僕が今歩いていたはずの道路も、両脇の一戸建ても、電信柱も電線も、何も見えない。
動転した。パニックが押し寄せた。
なんだこれ。僕は今どこにいるんだ?どうして青一色の中にいるんだ。
パニックを起こしているはずの僕の脳に、急激な眠気が襲ってきた。
僕は眠気に耐えられず、まぶたを閉じる。
僕は青い光の中、眠りに落ちていった。
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