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第20話 現地人の街へ(2)

「!!」  僕はびくりとして、老人から身を離した。レンが頭をかいた。 「あー、大丈夫、このじいさんは一応、味方……でもねえけど、とりあえず転生者をとっ捕まえようとはしてこない」 「転生者を囲う元気なんざないわい。ジジイになると、たまに嗜むくらいが粋なんじゃ」 「は、はあ……」  でも「嗜む」んだ、と僕は冷や汗を流す。  老人は好色そうな目つきで僕を上から下まで見た。 「わしゃドルードじゃ、よろしくのう、うひひ」 「おい、じーさん、支払うのは俺だからな」 「うひひ、なんじゃ嫉妬か?かわいい奴じゃ」 「なわけねえだろ。とにかくこいつにも付け耳を用意してやってくれ。あと武器と防具も欲しいな。力なくても扱えるようなナイフ、弓矢、アーマーあたり」 「ああ、そんなんいくらでも持っていけ。さあ入って来い、好きなのを選べ」  ドルードはカウンター脇の戸をあけて、僕たちに入るよう促した。  僕は怖さを感じたが、レンがすたすた入って行くのでその後ろについて中に入った。  間近で見る武器や防具は迫力があった。おもちゃや衣装のそれとはまるで違う。 「まず支払いじゃぞ?」 「わかったわかった。じゃあヨウは、ここで良さそうなの選んでてくれ。俺は支払ってくるから」  僕は思わず引き止めた。 「ま、待ってレン、支払いって……」  不安な顔で見上げる僕の頭をレンはくしゃりと撫でた。 「いいから、ここで待ってな」 「はよう、はよう」  ドルードがレンの腕をとり、奥の部屋の扉へと引っ張っていく。  レンは僕に、手をひらひらと振ってバイバイをする。  僕は扉の向こうに消える二人を、ざわつく心で見送った。

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