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第32話 嫉妬(1)

 男二人の死体は、レンがウマで森の奥にまで運んで遺棄してきた。数日で森の魔獣たちに食われてなくなるだろう、とのこと。  とりあえず一つの危機を乗り越えた。  夕ご飯とお風呂の後、僕がウキウキな気持ちでフェンリルをわしゃわしゃ撫でている間、レンは奥から引っ張り出してきた分厚い書物に目を通していた。 「あった、フェンリルについて。なになに『転生者液の麻薬効果は人間以外にも作用することがあり、その代表格がフェンリルである。フェンリルは転生者液を好んでなめ、自身が好むために転生者の匂いを嗅ぎわけ追跡することが可能。  しかしごく稀に、転生者液をなめるとフェンリルが転生者に服従してしまうことがある。滅多にないことだが、転生者の能力値が高い場合に起きる。フェンリルを転生者狩りに使う時は、絶対にフェンリルに転生者液をなめさせないよう細心の注意を払うこと』」  読み終わって、はあとため息をつくレン。 「そういうことかよ……。ああ俺、苦手なのに動物」  僕はフェンリルの耳の後ろを撫でながら、 「へえ~。そっかお前、僕たちのえっちな液が好きなのかあ」  僕は試しにシャツをめくってみた。  フェンリルは嬉しそうに僕の乳首をベロベロなめた。  あ、気持ちいかも。分泌してきちゃう。  乳首からこぼれてきた白いネバネバを、フェンリルは尻尾を振ってなめまくる。  僕は押し倒されてしまう。 「わーやめろって、くすぐったいよ、ワン太ー!」  レンがドン引きした感じで、じゃれ合う僕とフェンリルを見た。 「もうワン太なのかよそいつ……。ヨウお前、家の犬にもちんことかなめさせてたんじゃないだろうな……。バター犬とかいう……」 「そ、そんなわけないじゃないかっ!それ女の人のあれだろっ」    僕は赤くなって否定する。もしかして僕、結構な変態だと思われちゃってる?  全然そんなことないのに、全ては異世界のせいだ!  まあ確かにこの世界に来てからはちょっと……変態かもしれないけど……。と、ハンターを誘惑してしまった自分を思い出した。  レンは僕を押し倒してなめまくっているワン太……じゃなかったフェンリル……ああもう、いいややっぱワン太で!  えっと、僕の上のワン太の首根っこをむんずと掴んだ。 「どけよ、犬。てめえはそのままヨウを獣姦しそうでハラハラすんだよ。犬は犬らしく、外行って見張りでもしてろ」  主人に命令されたワン太は、すごすごと僕の上からどいた。レンがドアを開けると、素直に外に出て行く。  ばたん、と乱暴にドアを閉めるレン。  ああ、ちょっと寂しそうワン太。  レンは不満そうな僕をじっと見て、 「あーあ、せっかく風呂入ったのに犬臭くなっちまって。……まあ、いいか」  ん?いいって、何が?  キョトンとする僕の体を、レンは押し倒した。  えっ。  えっ、何っ!? 「さっきのこと、本当だからな」 「な、何が?」 「妬けた、ってやつ」  ゆ、誘惑の話か! 「あんなお前見せられたら、俺もう我慢できねえわ」

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