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第44話 幻惑の森（5）※
僕はゆっくりと顔を落とし、レンに口付けをした。
ディープなのは恥ずかしいから、唇を触れるだけのキス。
唇を離して彼の顔を確かめると、うれしそうに目を細めている。
きゅん、と胸が締め付けられた。
僕はどきどきしながら、レンのお尻に手を伸ばした。その真ん中の穴に。
もう既にぬるぬるしてる。
その窄まりにそろそろと、中指を入れた。
指を締め付けてくる感覚。肉壁の熱さ。
こんな風になっているのか。
僕は大事な人の秘部を暴くような行為に、背徳感と高揚を覚えた。
指を動かしてみたら、レンが「んっ」と艶めいた吐息を漏らして、僕の心臓は早鐘を打った。
僕の動きに反応しているんだ。
僕は夢中になって指を蠢かす。
僕ならどこをどうされたら気持ちいい？って、レンにしてもらったのを思い出しながら、レンの熱い肉壁をこすった。奥のほうの、多分ここ、っていうところを探してぐっと押した。
指を二本に増やして三本に増やして。
レンの目つきがどんどん色を帯びていき、お尻の穴がどんどんぐちょぐちょに濡れていく。
「んっ……あっ……はっ……」
僕の指で感じてくれている。
もう僕のペニスは張り詰めて張り詰めて仕方ない。
レンが荒い息を吐きながら、潤んだ瞳で僕を見上げる、その視線に僕自身が犯されているようで。
ああ君は、なんて魅力的な人なんだろう。
入れたい。君に入れたい。
「……入れていい？」
レンはふっと笑って、
「早く……来い」
挑発するようにそう言った。その瞬間、色気の合間にどうしようもなくかっこいい「男」が見えて、僕は撃ち抜かれたように、君に恋をする。
僕は猛りきったペニスを、レンの入り口にあてがった。
この狭い窄まりに本当に入るのだろうか？
緊張しながらぐっと、先端を押し入れた。
むちゃくちゃな締め付けにいきなり絶頂に連れて行かれそうになりながら、僕は必死にこらえて、中へ中へと侵入した。
ああどうしよう、レンの体の負担とか何も考えていない、僕にそんな余裕なんてない。
ただもう、ぎゅうぎゅうと締め付けてくるその熱い秘穴が気持ちよすぎて、理性も知性もなにもかもぶっ飛んでしまう。
奥まで押し込んで、はあはあと息をつきしながら、レンの顔の両脇に腕をついてその綺麗な顔を見下ろした。
余裕の無い僕を、レンは息を乱しながら優しく見上げた。
「どう……だ、俺ん中……」
「最高に……気持ちい……」
レンはとろけそうなほど魅惑的な笑顔を見せた。
「好きに……動かせ。俺のこと……めちゃくちゃに犯してよ」
僕はぐっと唇をかみ締め、うん、とうなずいた。
僕は腰を振り始めた。
もっともっと君のこと欲しくて。ただ想いをぶつけるような、必死の抜き差しをする。
奥まで差して、ぐっと引いて、また一気に奥まで差して。
そのたびにペニスが最高の快感に包まれる。
レンの腰も波を打った。
快楽に耐えるように目を細め、押し殺した喘ぎを口の端から吐息に漏らしながら。
僕のこんな、気遣いもできない荒い動きに感じてくれている。
僕は欲望に身を任せ、夢中でレンを穿った。
欲しくて、欲しくて、レンが欲しくて。
必死なくらい体を揺さぶり、いやおうなく、終焉へと高められていく。
もう駄目だ、これ以上は。
「い、く……！レン、い、いっちゃう僕……っ！」
僕は達した。
レンの中でどくどくと達した。
君を手に入れたって思った。僕のものにしたんだって。
きっと同時に、花の精細胞もレンの中に放たれたのだろう。
僕は名残惜しく、まだ硬さを保つペニスをレンの中に入れたままじっとした。
そこで、レンも前から射精していることに気づく。
「レン、イってくれたの！？」
僕の色気も情緒も無い発言に、レンは素敵な笑顔で返してくれた。
「ああ、よかったぜ」
レンは息を乱し、僕を見つめていた。
僕はその、汗に乱れた髪を、色に濡れた瞳を、紅潮する肌を、締め付けられる思いで見つめた。
こんな綺麗な人を、僕のものにしたんだ。
やっとレンの中から自分の分身を引き抜く。
するとレンの後ろから、どろどろっと紫色の液体が零れ落ちた。
レンが言った。
「受粉も成功だな。この紫のがこの場所で定着して、種子になるらしいぜ」
「そっ……かあ……」
なんだかすっかり、お花にいいように利用されてしまったな。
でも。
僕は横たわるレンにきゅっとしがみついた。
その体にぴっとりと顔をうずめて、すりすり頬ずりする。
「どーてい、卒業しちゃった！」
照れ隠しのような僕の言葉にレンが吹き出した。
僕の頭を撫で付けて、ちゅっと額にキスしてくれた。
「おめでとう」
「うんっ」
処女喪失も童貞卒業も、初めての人は全部レン。
幸せをかみ締めたとき。
ぱかっ、と僕らの寝る床が開いた。
「あわわっ！」
開いた床の下には滑り台的なつるつるの斜面があり、僕らはそれを滑り落ちていった。
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