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第51話 決壊ショー(3) ※グロ

※グロ注意です -----------------------------  少年の狂った叫びはやがて聞こえなくなった。  ただカタカタと震えながら、宙の一点を見つめていた。  本当に寒さを感じているのじゃないかと思えるほどの、ものすごい振るえだった。  遠くからもはっきり震えていることが分かった。  その様子を見て、腰を曲げてひーひーと馬鹿笑いしていた仮面の男が、すくと立ち上がった。   「大いに笑かしてくれましたねジョアン君!さあジョアン君の体の中は、転生者液でもうパンパン!皆様お待ちかねの『決壊』の時はすぐそこです!ジョアン君、廃人化まであと少し!まあ、もうとっくに廃人ぽいけどねえ?」  これから一体、何が起きると言うのか。  僕は恐怖しながらも、少年を凝視した。  目を見開き、ガクガクと異様な振動を続ける、トルソーのような少年を。  次の瞬間、「決壊」が始まった。  僕は最初、汗の粒かと思った。  少年の体中に突然ふき出した水の粒。  額に、顔面に、肩に背中に腹に尻に。  少年が汗をふき出したのかと、思った。  だが汗じゃなかった。  汗ならば流れ落ちる。  だがその丸い粒は、噴射した。  汗かと思われた「なにかの液体の粒」は、噴水のように、少年の体中から噴射した。  まるで花火のようだった。  白い花火。  少年の体中、毛穴と言う毛穴から、白い液が花火のように放出された。  その時、会場が不思議と静かだった。  あれほどの喧騒が、その白い花火が爆発する間だけ、しんと静まりかえっていた。  前のほうの席にまで白い液体は届いた。  前の席の観客達は、その白い液体を、恵みの雨のようにありがたがって浴びているように見えた。  体中から液体を放出させた少年は、ごとりと仰向けに倒れた。  トルソーのような体が、真っ白い水溜りの中にぐしゃりと転がる。    仮面男が、恍惚とした表情でその大放射を見ていた観客達を見回す。 「はい、大決壊ー!溜まりに溜まった転生者液、全部吐き出してくれました!これで廃人の出来上がり!ジョアン君は生きながらどこか遠い世界に行ってしまいましたー!貴重な貴重な転生者一人を犠牲にしないとお見せできない激レアショー!この街でしか見ることのできない、あまりにも贅沢なエンターティメントでございます!」  会場は割れんばかりの拍手喝采となった。  仮面男はそこで手を上げて、観客たちを制するジェスチャーをした。  これで終わったかと思っていた観客たちは、まだ何を見せてくれるのか、と期待に満ちた視線を送る。  仮面男は得意げに言った。 「まだまだショーは終わりませんよ。今日は特別ゲストの皆さんをご用意しています!はい入って来てください!街でごろついていた転生者中毒の浮浪者の皆さんでーす!」  さきほど仮面男が入ってきた入り口から、ぞろぞろと汚れきった、目つきの異様な浮浪者たちが入ってきた。ここに来る前、路上で暴れて取り押さえられていたあの浮浪者も、いた。  仮面男は浮浪者たちをステージ上まで案内する。 「ささ、どうぞどうぞ!はいはい、上って!」  浮浪者たちは、ステージ上に撒き散らされた白い液体を、床にはいつくばって舐めた。奇声をあげながら。 「えきいいいいいいいい!えきっ!えきっ!えきいいいいい」  獲物を見つけた獣のように檻にしがみついて吼えるものもいた。 「てんせいしゃっ!てんせいしゃ、ほしいっ!ほしっ、ほしっ!てんせいしゃっっっ!!」  仮面男が手に銀色の鍵を持って掲げる。 「はい今から、浮浪者の皆さんにジョアン君を召し上がってもらいます!ずっと誰かに犯してもらいたくて仕方なかったジョアン君、これでやっとくっさい男達に輪姦してもらえるよ、良かったねえ!」  仮面男は鍵を檻の入り口に差し込んだ。 「はい、どうぞー」  言いながら檻の扉を開ける。  浮浪者たちが檻の中になだれ込んだ。  人形のように横たわる少年に、中毒者たちが群がった。  浮浪者の一人が、己のヘルペルだらけのペニスを引っ張り出した。  手で少年の口を無理やり開き、そのぶつぶつまみれのペニスを押し込む。  少年はまるっきり表情を変えず、ただ眼球だけが、きょろきょろとせわしなく動いていた。  僕はもうそれ以上、見ていることはできなかった。  口を抑えて立ち上がった。レンも一緒に立ち上がった。  僕ら二人は、無言で客席の間を早歩きで歩いた。  熱狂に沸く悪夢のような地下会場から、逃げるように抜け出した。

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