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第22話

「…くっ…」 もう何度目かわからないまま果てると、二琥の腰も跳ね上がってピクピクと痙攣していた… 二琥の中から抜け出ると、二琥に収まりきらなかった液体が俺のモノに絡みながら溢れ出る… まだ身体が時折波打ち、ピクッとなる二琥の側に座ると、その穴が飲み込みきれずに液体を垂れ流す様子が良く見えた… 快楽に果てた二琥が、自分から放出出来るものは既に渇れ果ててしまったみたいだけど… それでも二琥は、到達した絶頂に抗えなかったんだと思う… 俺が二琥の全身に何度も繰り返した愛撫のせいで、儀式の為に二琥に施された模様はすっかりと消えてしまっていた… きちんと拭ってあげたつもりだったのに、何度か前に俺が放った液体のせいで、二琥の髪の毛も少しベタつきが残っている… ふと会場を見渡すと… すっかり静かになったそこからは、既に寝息やイビキしか聞こえなくなっていて… 同族の観客だったモノは皆、身体全体のあらゆる筋肉が弛んだかの様に大の字になって眠っていたり… 数人で折り重なる様に倒れたまま眠りこけているようだった… やっと俺は我に返るとほとんど意識の無い二琥を抱え、そこら中で屍の様に倒れている同族の間をぬって会場を後にした… 途中、長い髪をドロドロにベタつかせたまま、ピンクの肌の奴と絡みあっている雨愛を見かけた気がする… 二琥にちょっかいをかけようと、女の振りをしてまであっちに来ていたくせに… どうせ俺になりきって、このピンク肌を二琥に見立ててシテいたんだろう… 結局コイツはプライドなんてすぐに捨てて、ただその場で如何に自分が気持ち良くなれるかしか考えて無いんだ… そんな安っぽい欲求癖は鷲尾にまで知られている位だから、俺が二琥と結婚出来なかったとしても王座なんて回ってこなかっただろうけど… まあ、そんな雨愛だけでなく… 儀式を無事に終えた今、俺に歯向かえる奴なんて居なくなった事が良くわかる。 何なら儀式の最中に、俺は「王座に就いた」感覚を全身で味わった… でも、それで俺は完全に調子に乗った。 服従させた者達の期待に応えすぎて… (1週間もシテ無かったし…普段より乱れて可愛い二琥に興奮してしまったってのもあるけど…) ちょっとサービスし過ぎてしまった… その結果、二琥にかなり無理をさせていた… 腕の中の二琥の体温は上がってきているし、吐息は荒く息苦しそうにしている… そのまま二琥を部屋の風呂場まで連れていき、俺がベタベタにしてしまった肌の隅々まで優しく洗った… 「っふぅ…ありゃ…ん?」 気持ち良さそうに湯船の中に浮かぶ二琥は、俺の首に手を回して頬を擦り寄せて来た… 酔いの冷めきらない二琥はとても可愛いのだけど、同時に凄く後ろめたい気持ちが押し寄せて来る… 「ん?二琥…大丈夫?…ごめんね?」 一緒に浸かる浴槽の中で、俺の肌を求める様に二琥は身体を絡ませて来た… 指通りの良くなったその髪を撫で、ついばむように唇を食むと、二琥は物足りなさそうに口を開く… 「熱上がっちゃうから…もう出ようね?」 「んー…ふはぁ…」 二琥はただ息が漏れ出ただけのような返事をすると、いつもそうしているかの様に俺にしっかりと抱き付いて来る… お陰で、二琥を抱えたまま立ち上がる事がとても容易だった… 何度か眠りに落ちてしまう二琥をあやしながら服を着せると、柔らかいベッドにそっと寝かし、その隣にもぐり込む… 俺は欲していたモノ全てを手入れ、こんなにも満たされている… でも二琥に対して抱くのは、それの大きさと同じ位の罪悪感と感謝の気持ちで… 感情を持て余した俺は、どうしていいかわからずに居た… 「二琥…ごめんな…愛してる」 そんな言葉しか思いつかなかったのに、こんな俺にもちゃんと眠気は包み込むようにやってきて… 隣ですやすやと眠る二琥の肌を撫でながら、俺も深い眠りに落ちた… ………… …… 何年ぶりかわからない発熱は、それから丸一日続いていた… 身体が熱くて堪らずに目を覚ますと、隣で寝転ぶ亜嵐と目が合った。 その視線に安心するとまた眠りに落ちる… ………… …… 亜嵐が「愛してる」と耳元で囁いて、「俺も愛してる」と答えたいのに声が出ない。 すると亜嵐は酷く悲しそうな顔になって、「二琥の為だから…」と言い残し俺に背を向けた… そして亜嵐は、そのままどこかへと行ってしまう… 俺が必死に呼び止めようとしているのに、振り返りもしない亜嵐はそのまま見えなくなってしまい… 俺には何故かもう二度と亜嵐に会えないのがわかり、息が止まるほど苦しかった。 俺の心臓が強く速く動いていて、もの凄く痛かった… 俺はもう亜嵐に会えないのならばと、最後の力を振り絞るように叫んだ… 「…っ!亜嵐っ!行かないで!」 自分の声が出た事を認識すると、亜嵐が泣きそうな顔で俺を覗き込んでいた… 「二琥…?すごくうなされてた…ごめん…」 いつもよりも優しい声で囁いた亜嵐に、たくさん髪を撫でられる… 「ホントにごめん…俺…」 「亜嵐…良かった…」 本当に亜嵐が居なくなってしまった様な体感をした俺は、それが夢だった事に安心していたが、何故だか亜嵐が強く抱きしめてくる… 「俺のせいで…うなされるほど辛い思いさせて…二琥、背中までドキドキしてる…」 「亜嵐?」 「俺が無理させちゃったせいで二琥はこんなに熱が出ちゃったんだよ…」 「…もう、大丈夫だから…」 「俺…二琥がうなされてるのに何も出来なくて怖かった…」 「俺も怖かった…亜嵐が居なくなっちゃうから…」 「え?…俺、ずっとここに居たけど?」 「夢だったけど…すごいリアルで…」 「それでうなされてたの?」 「多分…」 「かなり熱が高かったからだね…ごめん…」 「いいよ。でも亜嵐はどこにも行かないで?」 「行かないよ。大丈夫…」 「それが俺の為でも、絶対ダメだからな!」 「二琥?まだ熱が?」 「大丈夫だから!今約束して!」 「わかった…約束するよ…」 俺はそう亜嵐に約束させると、その胸に頬を擦り付けてみた。 なんか今はそうしていたくて… 「二琥?まだ酔ってるの?」 「え?」 「何かすごい甘えてくるから…っあ」 「俺…?甘えてた?」 ………… …… 儀式の舞台にあがった途端、興奮した亜嵐の香りと貪られる様なキスに、俺の身体は俺の意思に反して反応を示した。 覚悟はしていたのに、自分のモノを擦りながら俺を見つめる視線だとか、不思議と側に聞こえてくる亜嵐以外の熱い息遣いに耐えかねて、俺は亜嵐の提案に縋ったんだ… 結果、俺は逃げ出すことなく儀式を最後までやり遂げる事が出来たのだけど… 最後の方は流石に良く覚えておらず、気が付いたら身体に描いてあった模様も消え、このベッドに亜嵐と一緒に寝ていた… でも、恐らくは儀式の直前に亜嵐に渡された気付け薬のせいで… うろ覚えながら儀式の最中に自分が「どう」だったかは、悲しいかな知っている… 亜嵐のを飲み込み、体内にそれが落ちていくのを確認すると、中心から逆流してくるような快感に抗えなくなった… 亜嵐の視線さえ俺の肌を撫でていく様で… 亜嵐に触ってもらうのも待てずに、熱くて辛い自分のモノを指でなぞるとソコから走る快感に腰が捩れ… 疼いてきた場所を触りやすいように露わにすると、亜嵐の指使いを想像しながら自分の指をあてがった… ふと舞台の下方に視線を向けると、さっきよりも興奮を増したような視線がこちらへ集中しているのが分かり、どうしようもなく恥ずかしいのに… さっき俺の口から拭い取った亜嵐の液体を、亜嵐の指ごとこの穴に沈めながら、はち切れそうで痛い俺のは、亜嵐の体温で擦り上げて欲しくて堪らなくなった… でも、そんなことを口に出したら… 恥ずかしすぎる俺の願望が、こんなに大勢に知られてしまう… しかし、下半身からとめどなく湧き上がってくる快感に俺の羞恥心はあっけなく負けると… 亜嵐の興奮を注いでほしくて堪らなくなった… 一度声に出して亜嵐に懇願すると、会場の興奮と共に、亜嵐の興奮が更に高まるのが肌で感じられる… 遠慮が無くなったような亜嵐の指が俺の内部に滑りを与えると… それは強い媚薬の効果を発揮して、体内からも俺を刺激した… その間も俺の肌を滑る亜嵐の唇の感触の強弱で、身体中から快感が溶け出していく… その快感を声に出せば出すほど気持ちがよくて、俺は狂ったように更なる快感を求めていった… もう既に自分の気持ちを吐き出すことに羞恥心なんて無くなっていたし、快感や願望を口に出したくて堪らなかった… そして亜嵐が俺のモノを口に含み、俺の興奮を改めて確認するように吸い上げると、俺ははち切れそうな痛みをやっと、亜嵐の口に吐き出した… 引いていく快感さえ刺激に変わり、ひくつく身体を沢山の視線の中に放り出したまま… 僅かに残った羞恥心が訴えかけて来ても、自分ではどうする事も出来なかった… その後、亜嵐に優しく抱き上げられた時… 亜嵐の満たされた様な感覚が流れ込んできて… 俺は、ただ嬉しくて愛おしくて亜嵐に抱きついた… 俺は夢見心地ながらに、不思議と安心したというか… 「これで良かった」と心の底からそう思えていた… ここで終われば良かったものの… 亜嵐の要求は俺を更なる快感へと追い詰めていき… 快感を求める余りの俺は、その要求に応え続け… そこからはしっかりと思い出すのはやめよう…

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