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第13話

「部屋着、それでいいですか? サイズ、合いますか?」 「大丈夫だよ、ありがとう」  別れたという彼が着ていたものだろう。  ただ和哉は、それについては一言も触れなかった。  そして、そんな彼を、翼はやはり優しいと感じた。 (何も訊かないんですね、渡さん)  何も訊かず、何も知らないのに、ただ優しい和哉。  この人なら、今の僕を慰めてくれる。  この、どうしようもない心の渇きを、癒してくれる。  そう、翼は感じ取っていた。 「あの。もう寝ましょうか」 「ん? ああ、さすがに0時回ったら寝なきゃな」  明日は土曜日だから、ゆっくり眠れるな、と和哉は笑ったが、翼は笑わなかった。 「それで、あの。一緒に、ベッドで寝てくれますか」 「いいよ」  抱いてくれますか、とは言わない翼だ。  だが、その気持ちは眼差しで汲み取れた。  和哉は翼の後について、寝室へと入って行った。

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