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無視?
でもね、楽しんでいるならいいんだけど。それが度を逸してしまう場合もある。
そう、こんな綺麗な子が目の前にいたとなると。それは……。
多分まっさきに、目をつけるのは、今の生徒会長の伊藤センパイだろう?でもね。
それよりも何よりも、まっさきに目をつけたのは俺だし。
こりゃ早いとこ、自分のもんにしないとねえ?
とか思った。
自分で言うのもなんだけど、俺はかなりカッコいいと思うよ?
おそらくイケメンな部類じゃないかなあ。
悪いが、俺は中等部では一番モテていたよ。
俺が告れば……いや、わざわざ告らなくても、向こうからやってきたしな。
だからね。
落とすのなんてワケないよ?
そんな風に思っていた。
だから、まっさきに声をかけた。
「ねえ。君さあ?名前なんていうの?」
そいつは、何か本を読んでいた、下を向けた顔を上げて、上目づかいにチロっと俺を見た。
・・・うわっ来た。ってか近くでみるとますます。綺麗っつーか。
色白で、長いまつげで、・・女子みたい。
そしてそのまま、また、そいつは無言で下を向いた。
あれ?
「ねえ?聞いてるんだけど?」
そして、そいつはもういちど俺を見て物凄くかったるそうに言った。
「……名前。聞くなら、まず自分から名乗るのが普通じゃないの?」
澄んだ声だった。
「あ、ごめん。俺、西本和也。下からの上がり組みだけど。よろしく」
そう言って、思い切り爽やかに微笑んでみせた。よし、この俺の爽やかな笑みはな・・。人を引き付けるんだよ。
中等部の頃は、百発百中っていうか・・・。
そいつは、そんな俺をただじっと見ただけで、
「理雄」
「・・・何?リオ??りおって言ったの?」
「……そう言ったよ。上の名は向田」
もう話しかけるなオーラ全開で再び下を向いて本を読み始めてしまった。
・・・・何???
この俺を無視とか・・・・???
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