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友達だった
「……よかったんですか?」
車を運転している、上里に言われる。彼は若くて最近俺の運転手をするようになった。運転手権、ボディガードみたいなもんなんだけどもね
「何が?」
"何"を言われたか分かっているけれど、わざわざ聞いてみた。
「だって、新しい学校での"友達"なんじゃないですか?」
アタリマエの事をアタリマエに聞いてきた。
「いいんだよ。だって、俺は友達とかそういうのいらないから」
それを聞いた上里は少し驚いたようだった。
「でも、学生の頃の友人はいいものですよ?」
「余計な事は言わなくていいから」
「……わかりました。すみませんでした」
と言ったきり上里はそのまま黙った。そう、余計な事は聞かなくていい。さすがに父親の若衆だけはある。きちんとそういう所は躾が行き渡ってるよ。
………
………
中学はこことは違う学校で小中高と続いている学校だった。いわゆる名門校だったんだよ。俺は小学部の途中から入ってきたんだけど、
本当は最初は公立の小学校に入っていた。親は一般的な子供と多く触れ合わせたかったのか公立の学校に入れた。
親がやくざとかって、やっぱりこういうとこでは異質だったから。そこから車で送迎させられたんだけど・・・。それだって余計目立って、嫌がらせとかいじめとかに拍車がかかったんだよ。
だから、うちの幹部の子供が行ってるっていう私立の小学校を薦められて入ったんだけど。
そこでは、親の職業でとやかく言うような下世話なやつはいなかった。いわゆるお坊ちゃん校だったし。
車での送迎も珍しくもなんともない。
だけど。
でもね、みんな自分の思い込みとか願望で話し掛けてくるんだ。
……俺はあまり話さないからおとなしいと思ってた?
『○○君みたく強そうじゃないんだね?』
……誰それ?・・・××の子?ヤクザの息子はみんな喧嘩とかしないとだめなんだ?
勝手な思い込みと勝手な決めつけ。そして最後には俺の容姿にまで色々言われてなにかの理想を俺に当てはめる。
……なんでお前に女みたいって言われなきゃならないんだ?女みたいだから何?
そうやって言い返すと……みんな一斉に退く。
こそこそ言い合って
"………やめなよだってアイツやばいじゃん。アイツの家、××とか○○みたいなちっさいとこじゃなくって竜輝会だよ?"
そして、ひたすらへらへら言い訳をするやつら。
公立と違うのは表立って言わないだけ。逆にたち悪いかもね。でも、まあいいやそれなら、気にしなきゃいいだけの話。だから俺はずっと孤立してようかと思っていた。
でもね、そこで俺と最初に友達になったのが汰一 。彼は小学部で会ってそれから中等部に入ってもずっと友達だった。
ずっと親友と思っていた。
………だけれども・・・
………
…
がたんという揺れがしたと思ったら、上里の声が聞こえた。
「理雄さん着きましたよ」
どうやら車の中で眠ってしまったらしい。
「わかった、ありがとう」
そう言って俺はいつものように車から降りた。
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