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Rio side 2 変なやつ
「理雄・・ちゃん」
いきなり目の前に現れた、こいつは……。
「昼休みいつも何処にいるのかと思ったらこんなとこにいたんだ?ねぇ、そうやっていつも1人でつまらなくない?」
ここは、屋上の受水タンクの脇しかもタンクの周りの金網をぐるっと回って金網と壁のほそい隙間を抜けた、屋上への出入り口ドアから見えない場所。
そこはちょっとした空間があった。目の前は柵のない屋上の淵。
そんな所に俺はいた。
「こんな所によくいたね~。知ってる?ここの屋上って・・・」
何か話始めたそいつの顔をボンヤリと見る。少しうたた寝したせいか頭がまわらない。
ああ、コイツか…西本和也・・。
「……後、つけてきたの?」
「・・・まあね。だっていつも昼休み何処行ってるのか気になったから」
俺は西本の顔をチラッと見て言った。
「1人になりたかったからここに来たんだ」
「なんで?友達とかといれば・・」
「友達とかはいらないから。だから、お前もここに来られるのはすごい迷惑」
ぴしゃりと言ってやる。
「ふーん。じゃ友達じゃなくてもいいからさ・・・彼氏にしてよ」
・・・・?何を言っている?
「はあ……?」
ってか何を言い出す?コイツは。
「ってかお前、俺が男っていう事忘れてない?」
「知ってるよ。っていうか、リオだって・・。あ、リオって言っていい??中学、男子校だったでしょ?色々あったんじゃないの?ってかもういる?彼氏?」
……まっさきに浮かんだのは"汰一"でも汰一は彼氏とかじゃない。彼は、親友"だった"
「いないし・・・。それに、前の学校だってそんな事はなかった」
「ふーん・・。そうなんだ?」
・・・でも、何かしら声をかけてくるやつはいた。
そう、こんな西本みたいなやつ。
でも、そんな時はいつも・・・
"汰一"がおっぱらっていた。
そう。汰一が矢面に立ってくれてたんだ。
そんな事を考えながらいると
「なんだよ?やっぱいたんだねえ?何か思い出してるみたいだし」
「違う。やつはそんなんじゃない。しかも、」
……汰一は最終的には俺を遠ざけていた。
・・・その時
俺はすごい暗い顔をしていたらしい。
「どうしたの?すっごい顔してる。」
「・・・なんでもない」
「……ふーん??ま、いいけどさ。彼氏の事いいでしょ?考えてよ?」
そう言って西本は立ち上がって、
「ってか、この隙間~すげーよ。デブなやつは通れないかもなあ」
もうすぐ昼休み終わるから早くいったほうがいいよー
と言いながら金網と壁の隙間をぎゅうぎゅうさせながら通って行った。
・・・変なやつ。。
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