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言ってもしょうがないよ
おもわず和也を突き飛ばした。
「イキナリなにするんだよ!!」
すると和也はしれっとした顔で
「キスだよ?」
と、言った。
だから・・・そんな事をいってるんじゃない。
「キス・・はじめて?」
自分の顔がどんどん熱くなって行くのがわかった。
「・・じゃない・・から・・・」
「親とか兄弟とかは無しで」
「言う必要なんかない・・・」
すると和也はクスッと笑って
「かわいい・・赤い顔してるし」
と、言った。・・・俺、顔が赤いんだ。
でも、顔が熱くなっていくのは止められないんだよ。落ち着け……。
「ふーんそっか。やっぱり初めてなんだ?なんかもったいないねー。そんなに美人なのに」
すると和也はもういちど、俺の顔に近づいてきたので俺は警戒して後ろへ後ずさる。
「さすがに警戒されるか」
「・・・なんで、・・」
・・・なんで、なんで・・・・・。
「なんで、俺にこんなにつきまとうんだ?」
・・・大体が俺が人を絶対寄せ付けないって知れば遠ざかる。
「だから言ったでしょ、俺は、カレシになりたいんだって」
「男同士だしありえないじゃん」
「そんなの。関係ないよ」
俺は呆れたように睨み付ける。・・・お前には関係無くても俺には大有りなんだよ・・・。
「ねえ、なんで、リオは友達とか作らないの?俺さ、リオの前の学校に知り合いいるんだよね、それでもって、リオの事聞いちゃったよ。やっぱり、リオは彼氏いたんじゃん」
「それは・・・違う・・」
「・・・タイチ。リオの彼氏は汰一って言ってた」
……でも、違う。汰一は違う。汰一は……。
「・・・ねえ一体何があったの?そいつと?」
和也はじっと俺を見つめて言った。
「何が・・・?」
その黒い瞳に吸い込まれそうになりながら俺は、和也から目を逸らすために、よく晴れた空に出ていた飛行機雲の先を追った。
そして、小さくそっと
「言っても・・しょうがないよ」
そう呟いた。
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