16 / 42
リオの家
…
……
…………
リオの家は見事な屋敷というのにふさわしい家だった。
やはり関東を二分するほどの、大きな組だけの事はあるよな……。
リオがお祖父さんが旧華族の屋敷を買い取って色々改装したから……と言っていたとおりの見事な日本家屋という様子だった。
表玄関ではなく、裏から車が入っていった。裏とはいえ、普通の家とは比べ物にはならない。
入ってみるとなんかお手伝いさんが一人だけ出てきて挨拶した程度だった。
「あれ?なんか普通の家と変わらない」
ごくごく普通の金持ちの家と同じだった。
「そう?」
「もっとこう…なんつーか、やくざの若いもんがずらーと迎えるとかなんとか想像してたけど……」
「それは映画とかテレビの見すぎ。ここには父親の家業の者はごく一部しか来ないよ」
離れにあるというリオの部屋へ、普通の家と比べるとやたら長い廊下を歩いた。中庭には見事な池があって、鯉なんて泳いでいた。
中庭から見える渡り廊下に、なんとなくそれっぽい若い男が二人見えた。
「普段はあんまり来ないんだよ。でも、なんか今、色々あるみたいで、とりあえずここにも何人かいるんだ。いつもより多くね」
いつもと違うって。そうか、なんか抗争中とか言ってたよな。
すると1つの部屋から誰かが出てきて、リオに気が付いて声を掛けた。
「お久しぶりです。理雄さん」
「鷹山、いたんだ?」
その鷹山と呼ばれた男は、仕立てのよいチャコールブラウンのスーツを着ていて、筋肉質でかっこいい……というか渋いというのがふさわしい感の男だった。
おそらく、リオの父親の仕事の関係の…竜輝会の人なんだろうと思う。けれども、パッと見はそう見えない。
どこかの会社の役員といった様子だった。
「そちらは…?」
急に鷹山が自分のほうを見た。なんかものすごく目付きが怖い……。
「高校の同じクラスの友達だよ」
「高校の?」
鷹山がまた俺を今度はなんとなく上から下までチェックするように見ているのがわかった。
"マジ怖い"
少しびびっていると、
「高校、別のところに行ってやっぱりよかったですね。いいお友達ができて」
そう言ってリオと俺に軽く会釈をすると"では"と言って行ってしまった。
リオの周りにはあんな怖い人ばかりいるんだ……リオの何事にも動じない様子はこういうところからきてるのかなとも思った。
そりゃね、こんな連中ばかりに囲まれていたら、何が起こっても動じないはずだよね。
ともだちにシェアしよう!