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部屋に行く
…………
…………
リオの部屋は離れの一角にあった。
そこはごくごく普通のつくりの……いや、広すぎるほどの部屋だった。
下手なワンルームマンションの部屋と比べたら倍はあるかもしれない。
本宅の様子が和風だったのに対して、リオの部屋は切り離されたように違う洋室だった。
そこだけ写真を撮って何処か都心のマンションの一室だよと言われても分からない。
デザイナーズマンションの一室のようなそんな作りだった。
最近の薄型のテレビはあるし、小さな冷蔵庫だってあった。
デザインが洒落た小さなソファーというよりカウチもおいてあって、一人暮らしが出来そうだった。
俺がほぉーっと関心しながらあたりを見回していると、
「どっかその辺に座って」
そう言ってリオは冷蔵庫を開けた。
「ってかすげーな」
「ああ、ね。コレ母親の趣味だから。全部勝手に買って揃えられた。家具とかね。なんか有名なイタリアのデザイナーのとか言ってたけどね。俺そんなの興味ないからわからない」
家具や調度品の数々は黒っぽい色が基調になっていて所々トーンを押さえたような赤が入っているデザインで統一されていた。
とりあえず、赤い色をしたカウチに座ると、
「お母さん……ああ、あの綺麗な?入学式で見かけた。会いたかったなあ…。保護者は入学式後、別だったしなあ。会えなかったのが残念」
「綺麗…?っていうか化粧が上手いだけだよ」
そう言いながらリオは冷蔵庫から出したらしいコーラーのペットボトルを差し出した。
サンキューと言ってコーラを受け取ったけれども、離れていくリオのその手を掴んだ。
「……何?」
驚いてリオは俺を見た。
そして、そのまま、ストンと、俺の隣に座った。
「昼休みは言いたくなければいいとか言ったけど、でも、やっぱり気になるよ。あいつ。汰一。さっきのやつなんだろ?」
偶然なのかわざとなのか、そいつ"汰一"が、学校の前にいた。あの様子、リオの反応も、そして、汰一の態度も気になる。
リオは暫くずっと黙っていたが、苦しそうな顔をして
「分かった・・・・。でも、話したくない事は言わないから」
そっと囁くように言った。
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