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Rio side 3 話したくない事は言わないから
……
………
和也…カズヤが、屋上で俺にキスした。
すごい驚いた。だけど、それで気が付いたんだ。
やっぱりアレは……。
あの時…"彼"は俺にキスをしたんだ。
………
……
放課後、カズヤがいつものようにしつこく絡んできた。俺が何度つっぱねてもめげない。だけど、何故か俺は本気の拒絶は出来なかった。
校門まで来たとき。視線を感じてふと前を見ると、通りの向こうに"汰一"がいた。
───・・なんで?
だから…思わずカズヤの腕を掴んで言ってしまった。
"一緒に来て"って。それで、通りの向こうにいるあいつに訴えるようにして睨んだ。
"──・・俺は平気なんだ。俺は、お前なんかもう必要としないから"自分に言い聞かすように、それは、精一杯の俺の強がり。
……
……
カズヤが家に来たいって言ったのは、最初は物珍しさからだと思った。だけど、本当は汰一の事をゆっくり聞きたかったみたいだ。でも、俺には、本当を言うと汰一とどうしてそうなったのかなんて分からないんだ。
だから。
「話したくない事は言わないから」
そう言った。
そして汰一の事を思い出していく……。
………
…
汰一とは……仲良くなってからは、時々は、送迎の車も使わずに一緒に帰るようになった。お互いの家も行き来もしていた。
その日も、汰一と帰って、そして、いつものように、汰一は俺のうちに来た。
……その日は学校でのスポーツテストが思いのほかきつくて、俺は、
「少し疲れたから、ちょっと横になる、あのスポーツテストすごいきつかったし」
と、言って自分のベッドにごろんと横になった。
「お前、運動だめだからなー。身体なまけすぎだよ」
汰一は笑っていた。
俺は、去年はあんまり良い成績出せなかったから、なんか今回は張り切りすぎたかな、とか、色々考えながら目を閉じた。
「……だからがんばったんだよ」
そう言って俺は眠ってしまったようだった。
何かふわりと顔にあたった気がした。何か触れる感じで。それはとても心地よかった。突然、何かの音かそれとも自分を呼ぶ声が聞こえてきて、パッと俺は目を覚ました。
すると、俺のベッドの脇に汰一が慌てた様子で立っていた。
「何?どうしたの?呼んだ?」
「いや・・」
少し赤い顔した汰一は部屋のドアのほうを振り返って見ていた。
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