18 / 42

Rio side 3 話したくない事は言わないから

…… ……… 和也…カズヤが、屋上で俺にキスした。 すごい驚いた。だけど、それで気が付いたんだ。 やっぱりアレは……。 あの時…"彼"は俺にキスをしたんだ。 ……… …… 放課後、カズヤがいつものようにしつこく絡んできた。俺が何度つっぱねてもめげない。だけど、何故か俺は本気の拒絶は出来なかった。 校門まで来たとき。視線を感じてふと前を見ると、通りの向こうに"汰一"がいた。 ───・・なんで? だから…思わずカズヤの腕を掴んで言ってしまった。 "一緒に来て"って。それで、通りの向こうにいるあいつに訴えるようにして睨んだ。 "──・・俺は平気なんだ。俺は、お前なんかもう必要としないから"自分に言い聞かすように、それは、精一杯の俺の強がり。 …… …… カズヤが家に来たいって言ったのは、最初は物珍しさからだと思った。だけど、本当は汰一の事をゆっくり聞きたかったみたいだ。でも、俺には、本当を言うと汰一とどうしてなったのかなんて分からないんだ。 だから。 「話したくない事は言わないから」 そう言った。 そして汰一の事を思い出していく……。 ……… … 汰一とは……仲良くなってからは、時々は、送迎の車も使わずに一緒に帰るようになった。お互いの家も行き来もしていた。 その日も、汰一と帰って、そして、いつものように、汰一は俺のうちに来た。 ……その日は学校でのスポーツテストが思いのほかきつくて、俺は、 「少し疲れたから、ちょっと横になる、あのスポーツテストすごいきつかったし」 と、言って自分のベッドにごろんと横になった。 「お前、運動だめだからなー。身体なまけすぎだよ」 汰一は笑っていた。 俺は、去年はあんまり良い成績出せなかったから、なんか今回は張り切りすぎたかな、とか、色々考えながら目を閉じた。 「……だからがんばったんだよ」 そう言って俺は眠ってしまったようだった。 何かふわりと顔にあたった気がした。何か触れる感じで。それはとても心地よかった。突然、何かの音かそれとも自分を呼ぶ声が聞こえてきて、パッと俺は目を覚ました。 すると、俺のベッドの脇に汰一が慌てた様子で立っていた。 「何?どうしたの?呼んだ?」 「いや・・」 少し赤い顔した汰一は部屋のドアのほうを振り返って見ていた。 .

ともだちにシェアしよう!