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何かされていなかったの?
「……ヤだ。こわくないけど、けど、それ以上は・・ヤメ………」
頭の上で押さえらている手を解こうとする。でも、力が入らない。
──・・これ以上やると……。
「人を呼ぶよ・・……大きな声を出せばすぐに来る」
そう。ここが"何処なんだ"っていう事を忘れないで欲しい。でも、これは賭けだ。だってホントは、ここは離れだから、めったに人は来ないんだ……本当は・・・。
それで……一瞬、押さえつけていたカズヤの手の力が緩む。
そのすきに、急いでその手を振りほどいた。そして、思い切り覆いかぶさっているカズヤの胸を押し返してシャツを捲り上げている手を掴んでやめさせた。
「……ああっーー、もう。分かったよ」
クスっという笑い声が聞こえてきて、そのままカズヤは俺の上からどいた。
「そんな事言わなくても、リオが嫌っていうなら止めるから」
ナニソレ?俺はカズヤを思い切り睨みつけた。
「じゃ、なんですぐ止めないんだ?」
「だって、かわいかったから。ホントはマジにやりたいんだけど?でもまあ、イキナリだとだめでしょ?」
「何それ?ってかイキナリでもそうじゃなくてもいやだから」
俺は起き上がりながら、言った。
「っていうか汰一ってやつ、こういう事したかったんじゃないの?つか、その時リオは寝てたんだよね?」
「・・うん」
「何かされてなかったの?」
──・・・え?
「何かって・・・」
──・・そんなのわからないよ。
「まあ、俺としては、こんなに美人のリオとずーっといて何にもしてないのは、信じられないけど?汰一ってやつとはそれまでにも何にもなかったんだ?」
「……そうだよ」
「……ふーーん。そっか、ソイツはマジで何だろ、リオをお姫様みたいに扱ってたんだな。ホント、リオってさ、深窓の令嬢だよなあ」
「はぁ??俺、令嬢ってオンナじゃないし」
「そんな感じなんだよ」
そう言って、カズヤはテーブルに置いたコーラのペットボトルを開けて飲んだ。
「うわっなんか泡がふきあがっちゃったし。リオこれちゃんと冷えてないじゃん」
ぶーぶー言いながらそこらじゅうコーラだらけにしているカズヤにタオルを投げつけてやる。
「ホント、お前って変だよ」
そう、呟いた。
………
…
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